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        <title>内田麻理香：カソウケン（家庭科学総合研究所）</title>
        <link>http://www.kasoken.com/</link>
        <description>科学技術コミュニケーター、内田麻理香公式ウェブサイト。
カソウケンとは家庭生活を科学する架空の研究所。</description>
        <language>ja</language>
        <copyright>Copyright 2008</copyright>
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            <title>001R.P.ファインマン</title>
            <description><![CDATA[　よもやま話の第一回はアメリカの物理学者、R.P.ファインマン博士についてです。研究員A、この方が大好きなもので。<br />
  <br />
  ファインマン氏は、理系の方ならご存じの方が多いかと思います。エッセイ、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006030053/kasoken-22" target="_blank">「ご冗談でしょう、ファインマンさん」</a>シリーズでもおなじみですし、物理学の教科書、「ファインマン物理学 
  」でも有名です。量子電磁力学の繰り込み理論の完成で、朝永振一郎博士らと共にノーベル物理学賞を受賞しています。<br />

<h4>ファインマンさんとの出会い</h4>
  初めにファインマンさんと出会ったのは大学1〜2年の頃。本屋で「ファインマン物理学」の電磁気の巻を手に取ってたのですが、初っぱなからマクスウェル方程式が出てくる異質の教科書に後込みして、買わずじまい。結局、「サルでもわかる電磁気学」みたいな教科書を買って帰ったのでした。次に出会ったのは大学４年の頃。図書館で借りた<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006030053/kasoken-22" target="_blank">「ご冗談でしょう、ファインマンさん」</a>に夢中になり、彼のシリーズを次々と読みあさり、しまいには<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000077112/kasoken-22">「ファインマン物理学」</a>も5巻全部揃えるという熱中ぶり。そんな理由で教科書買うなんてアホですね。子供が産まれてから、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006030290/kasoken-22" target="_blank">「困ります、ファインマンさん」</a>にあった、父と子のエピソードを思いだし、読み直したらまたまた夢中になってしまいました。 

<h4>飽くなき好奇心</h4>
  謎を見つけるとどんなことでも解かずにはいられない執念は 、まさに、科学者の中の科学者、と言えると思います。どこかにあった<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006030053/kasoken-22" target="_blank">「ご冗談でしょう」</a>の書評で「科学者でもこんな人がいるんだとびっくり」とあったのを読んだ覚えがありますが、彼こそ「ザ・サイエンティスト」と言えるのではないでしょうか。<br />
  真冬に大学院の寮の窓を全開にして、コートを着込んで窓の外に鍋を出してぐるぐるかき混ぜるファインマン。「鍋の中でぐるぐるかき混ぜ続けてもゼラチンが固まるか？」調べたかったとのこと。ある時は、「心の中で数を数えるのに、一定の速度で数えられるのは何故か？心臓の鼓動に関係するのか？」と考えて、寮の階段を駆け登ったり降りたりして鼓動を早くして確かめる。きっと、同僚には「またあいつだよ」と鬱陶しがられていたに違いありません。かなりの変人。

<h4> 死ぬまで「いたずら」</h4>
  いたずらも大好きで、始終、何かしでかしています。 しかも、「そこまでするか？」の入念な下準備も込みで。彼はガンで亡くなったのですが、死の床にあるにもかかわらず、入院中にカルテを盗み見てまでいたずらをするのだからたいしたものです。上の飽くなき好奇心もそうですが、それこそ「少年の心」を持ち続けていた人なんでしょう。

<h4>権威や見せかけや虚飾が大嫌い</h4>
  ひょうひょうとしていて天衣無縫な彼は、「権威」といものに囚われません。大先輩の権威ある学者がまちがったことを言っていたら容赦なく反論。でも、だからこそニールス・ボーアも彼に一目置いて、彼の意見を聞きたがったのでしょう。「見せかけ」「虚飾」を見るとそれこそ子供のように怒ります。「同じ馬鹿でも偉ぶった馬鹿ほど鼻持ちならないものはない。・・・自分の馬鹿さ加減を隠すため、偉そうなでたらめを並べたてて人を恐れ入らせようとするようなもったいぶった馬鹿だけは、僕は絶対にがまんできない！」（「ご冗談でしょう」の一文）・・・・ううう、研究員Aもバカのくせに知ったかぶったり偉ぶったりします。気をつけます。<br />

  とにかく、あくまで真っ正直で素直なんです。どんなに偉くなっても、わからないことは「わからない」と素直に言える潔さ。かっこいい〜。

<h4>初恋の人、アイリーン</h4>
  
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006030290/kasoken-22">「困ります」</a>では、初恋の人であり、結核で早逝した愛妻、アイリーンとのエピソードが語られています。学生時代に読んだときよりも、結婚後の今読み返した方が改めて感じ入るところが多かったです。彼女の命があと数年とわかった時、今すぐにでも結婚しようと決意します。「もうすぐ学位（博士号）がとれるの時に学校を辞め」「奨学金も捨て」「彼女が入院できる病院の近くに職を見つけ」ることを計画します。もちろん家族は大反対。科学者として大成することを夢見ていたであろうファインマンが、彼女のためにそこまで決意するとは。イイ男だわあ。二人は結婚するのですが、アイリーンは結婚後２年で亡くなります。 
<h4>超一級の英才教育 </h4>
  ファインマンの父親は、科学者ではなく、洋服のセールスマンだったのですが、彼の存在はファインマンの科学的センスを育てるのに多大な影響を与えています。「何かの名前を本当に知っているということと、何かの意味を本当に知るということの違い」をファインマンに教えようとします。実際に、彼の父親の教える内容はテキトーで、事実とは異なっていることが多いのです。でも、二人で物事を観察しながら「なぜ」「どうして」ということを一生懸命考えるのです。また、百科事典を見ながら知識を仕入れるのだけではなく、ひとつひとつの記述に対して「具体的にはどうなっているか考えてみよう」と立ち止まって楽しむのです。この「具体的に考える」という姿勢はファインマンのその後も一貫した姿勢です。その様子は、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000077112/kasoken-22" target="_blank">「ファインマン物理学」</a>からも伺うことができます。まさに、真の英才教育。モーツァルトにしても然り、ですが、天才の影に一級の教育パパあり。 
<h4>教育者としても一流</h4>
  彼の著作の<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000077112/kasoken-22" target="_blank">「ファインマン物理学」</a>という教科書。それは、彼が教鞭をとったカリフォルニア工科大学での物理学の授業をまとめたものです。研究員Aは遅ればせながら大学４年で、大学院の入試用にこの教科書を使ったのです（大学の1,2年向きの内容なので今更いう話もある）。大げさな感想ではなく、実に感動と興奮を覚えてしまいました。「なんて物理学ってステキなの！」ってね。彼の「具体的に考える」姿勢が一貫して保たれています。例えば力学で調和振動子の式を取り上げたときも、「この項目は何を表し、この項目は何」とあるので、無味乾燥に思える式がぐぐぐっと真に迫ってきます。それに、「森羅万象の現象をこんなシンプルな式に表せるなんて」という面白さも伝えてくれるのです。理系のくせに今まで物理が苦手だった研究員Aが物理の魅力を知るきっかけとなりました。<br />

  研究員Aのいた大学では、入学時には大まかな類に分けているだけで、大学３年次に学部・学科を選択するのです。入学時は、全体の８割の人が「理学部物理学科」に進学を希望していると当時いわれていました。今はどうなんだろう？工学部の化学を希望していた研究員Aはそれを聞いて、「どうせ、点数が高いから希望するんじゃないの。偏差値主義で権威主義だわ。ふん」なんて思っていたのですが。物理って乱暴な言い方をすれば、ある意味「自然科学のエッセンスの凝縮」とも言えるんですね。ほんと、ランボーな物言いですが。理系のくせにそんなことも知らなかったなんてはずかしー。<br /><br />

長々と書きましたが、科学を志す人にとっては「科学をやる上で大切なものは何か」を知ることができ、科学に興味がなかった人も「科学って面白いかも」と気付くきっかけになると思います。それに、ファインマンの正直で、素直に反省し、前向きで、好奇心を失わない生き方は、どんな人にも参考になるのではないかな、と研究員Aは期待しています。
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">よもやま話</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">scientist</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">topics</category>
            
            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:55:29 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>002「私の脳科学講義」 　利根川進著</title>
            <description><![CDATA[ご存じノーベル賞受賞者の利根川進博士が、自らの歩んだ道や、現在研究している脳科学についての講義や対談をまとめた本、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004307554/kasoken-22" target="_blank">私の脳科学講義</a>の感想文みたいなものです。利根川博士は、免疫学を専門にしていて「抗体の多様性の謎」を解明してノーベル賞を受賞しました。その後脳科学の分野に参入して、今は世界の脳研究をリードしています。<br />

<h4>マネ、できないよね。。。</h4>
  以前、立花隆との対談集<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167330032/kasoken-22" target="_blank">「精神と物質」</a>を読んだときも思いましたが、利根川博士、実に特異なキャラクターの方です。近くにいたら強烈だろうな、と。彼は京都大学の理学部化学科にいたのですが、卒論は全くやらないで卒業したとのこと。既に分子生物学を志していたので無駄だと考えたようです。バーゼル免疫学研究所に勤めていたとき、任期が切れて追い出されそうになっているのに居座って実験を続けたとか。その間無給だったらしい。うわあ。凡人にはマネできないです。「普通じゃないなあ」というエピソードのオンパレード。たびたび、「みなさんもこうすることをお薦めします」という記述が入ったりするのですが、マネできないもの、多いです。っていうか、天才の自覚がない限りマネしない方が無難じゃないかと思うのですが。


<h4>研究者のセンス？</h4>
  途中、なるほどなあと思ったのが、良い研究を面白い！と思える「価値観」や創造的な研究を見分ける「センス」はどこで養われるのか？という話。研究の価値というのは相対的なものであるはずなのに、利根川博士が尊敬する科学者たちの間でその価値観は一致しているということです。要するに、「あの研究は面白い」「面白くない」という価値観が一緒ということですね。<br />
  <br />
  それには、20歳そこそこの学生が最初から備わっているものではないので、創造性の高い研究を成し遂げた人のそばにいて、かつ、本人にしかるべきアンテナが備わっている必要があると利根川博士は言っています。<br />
  <br />
  学生は、研究室に配属されて担当教官や周りの先輩の言葉、「この結果は面白い」「こんなつまらない文献紹介するな」「あの研究はいいね」などを聞きながら学んでいくんですよね。最初っからその「価値観」を身につけている学生はいないと思います。でも、その将来身に付く価値観は、どの研究室なり団体なりを選んだ時点である程度決定されてしまうわけです。うーん、コワイというかなんというか。だからといって、あまり研究室選びに頭を使ったって仕方ないんですよね。だって、所詮その時点では大した価値観持っていないですから。やはり勘？その勘がセンス、「本人のしかるべきアンテナ」になるんでしょうね。

<h4>すべての学問は脳科学に吸収される？</h4>
  彼が再三繰り返して言うことは、「脳科学は心の働きを解明するので、いずれ哲学・宗教・心理学などすべての学問が脳科学に吸収されるだろう」と。ううむ。自然科学だって一種の宗教だと研究員Aは思うのです。「この自然科学的手法が正しい」と信じているからこそ成り立っている学問じゃないかと。でも、その「自然科学教」を信じて突き進むからあれだけの結果を生むことができる人なんでしょうね。もしくは、彼のなかでも疑いはあるのだけれども、正しいと思いこんでいるのかも。途中、「私はとても傲慢でね。自分が決めたことは間違いじゃないと確信しているわけ。一種のマインドコントロールです」と言っていましたし。<br />

  <br />
  学生さんにはお薦めの本です。学生さんでしたら、利根川博士の語ることの中から研究者としての大事なエッセンス、そしてエネルギーをキャッチすることができるのではないでしょうか。 

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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:59:28 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>002洗剤の科学-界面活性剤-</title>
            <description><![CDATA[　顔を洗う、食器を洗う、などなど毎日毎日お世話になっている洗剤。スーパーやドラッグストアに行くと、驚いてしまう種類の洗剤の数々。「キッチン用」「床掃除用」などなど。でも、実は、基本的にはこれらの汚れを落とす仕組みは同じです。しかも、その仕組みは意外と簡単。今日は、洗剤の科学についてお勉強してみましょう。

<h4>石鹸ってどんな形？</h4><br />
    　まずは、洗剤の基本、石鹸について詳しく見てみることにしましょう。まずは、生活部門の<a href="http://www.kasoken.com/archives/03home/polarity.php" target="_blank">「シミ抜きの応急処置-極性-」</a>でご説明した大原則をちょっと復習。「極性の近いものどうしは溶けやすい」、要するに、似た者同士は仲良しなのです。油っぽいものは油に良く溶ける。水っぽいものは水に良く溶ける。<br />
    そして、石鹸の姿は下の絵のようになっています。石鹸の面白いところは、一つの物質の中に、「油と仲良しの部分」と「水と仲良しの部分」の両方を持っているのです。こういった物質のことを、「<em>界面活性剤</em>」と呼びます。<br />
  </p>

  <table width="200" border="1" cellspacing="0" align="center" bordercolor="#CC6666">
    <tr> 
      <td bgcolor="#CC6666"> <div align="center">**界面活性剤のかたち**</div></td>
    </tr>
    <tr> 
      <td> <div align="center"><img src="http://www.kasoken.com/images/fig/home0201.gif" width="157" height="77" /></div></td>
    </tr>
  </table>

  
  <h4>どうやって汚れを落とすの？</h4>
    　 さて、この面白い構造をした石鹸は、どのような仕組みで汚れを落としてくれるのでしょうか？<br />
    <em>1.水に濡れやすくする</em><br />
    とにかく、髪でも食器でも、水をはじいてしまっては何も始まりません。界面活性剤は、これらが水に濡れやすくなるように働きます。専門用語を使うと、「表面張力の低下」作用といいます。<br />
    <em>2.汚れを包み込む</em><br />
    下のアニメーションを見て下さい。汚れは基本的には油汚れです。界面活性剤の油と仲良し（親油性）の部分が汚れにくっついて、汚れを包み込んでいます。汚れを包み込んだこの構造のことを、「ミセル」といいます。<br />

  <table width="250" border="1" cellspacing="0" align="center" bordercolor="#CC6666">
    <tr> 
      <td bgcolor="#CC6666"> <div align="center">**界面活性剤のはたらき**</div></td>
    </tr>
    <tr> 
      <td> <div align="center"><img src="http://www.kasoken.com/images/fig/home0202.gif" width="165" height="132" /></div></td>
    </tr>
  </table>

  <p><br />
    <em>3.汚れを水の中へ分散</em><br />
    そして、絵をみてわかるとおり、ミセルの外側はみんな水と仲良し（親水性）の部分です。ですから、汚れを包んだミセルは、きちんと水に溶けて分散します。この作用を「乳化」といいます。<br />
    これが、界面活性剤が汚れを落とす仕組みです。一つの物質で、汚れを落とすためにここまで働きをしているのがすごいですよね。洗剤って、地味ですが、実は働き者の物質だったのです。</p>
  <h4>他にもいろいろある「ミセル」→「乳化」</h4>
    ちょっと話がとびますが、この「ミセル」→「乳化」という形を持ったものは、洗剤以外でもたくさん見かけることができます。例えば化粧品。乳液というのは、水の中に油の粒子が散らばった構造をしているものです。そして冷蔵庫にある牛乳も、マヨネーズもそう。逆に、油の中に水の粒子が散らばっているものもあります。例えば、化粧品のクリームもそうですし、バターも同じです。この「ミセル」→「乳化」というおかげで、これらのものは水と油という仲の悪いものどうしがバラバラに分離しないですんでいるのです。<br />

 
 <h4>石鹸の作り方</h4>
    手作り石鹸の作り方などは一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。作り方の仕組みはとっても簡単です。油とアルカリ性の物質を混ぜて加熱して、余計なものを取り除いておしまい！です。家庭で作る場合には、加熱も余計なものをとる作業も省略することもあります。要するに混ぜるだけ。原料の油によって「親油性」の部分が、アルカリ性の物質によって「親水性」の部分が作られるわけです。何故使用済みの天ぷら油で石鹸ができるの？と不思議に思ったことのある方、こういう理由なんです。ちなみに、アルカリ性の強いものを使用する場合があります。苛性ソーダと呼ばれる水酸化ナトリウム、これはタンパク質を溶かす性質があるので、使用にはくれぐれも気をつけて下さい。皮膚が溶けてしまいます。
  
  <h4>天然の石鹸</h4>
    よく、「おばあちゃんの知恵袋」的なもので身近なものを汚れ落としに使うものがありますよね。ついでにそれらも科学してみましょう。<br />
    <em>・パスタの茹で汁</em><br />
    パスタの茹で汁をとっておいて、油汚れの食器や鍋にかけると、見事に油汚れが良く落ちます。洗剤のジ○イのCMのように、油汚れがぱああっとお皿の縁に広がるのは見ていて面白いです。なかなかの威力。実は、パスタの茹で汁は「サポニン」という天然の界面活性剤が入っています。ちなみに、この「サポニン」の語源は、「シャボン」と同じ語源だそう。ちなみに、このサポニン、お茶にも含まれているので、抹茶が泡立つのも石鹸が泡だつのと同じ理屈です。<br />

    <br />
    <em>・米のとぎ汁</em><br />
    米のとぎ汁も軽い油汚れを落とすのに使えます。でも、この理屈はパスタの茹で汁とはちょっと違います。米のとぎ汁には、「アルカリ」が含まれています。「アルカリ」っていうのは、上の「石鹸の作り方」でご説明したように、石鹸の原料になるものです。要するに、洗いながら、「油汚れ」＋「アルカリ」で、石鹸を合成してしまっているのです。これはすごい。でも、さすがに良い条件のもとで反応させているわけではないので、上の界面活性剤ほどは汚れは落ちません。<br />
    <br />
    でも、古来から「アルカリ」で洗浄するという方法は日本でも良く使われていました。日本に石鹸が伝来したのは遅かったからです。どんなアルカリを使ったかというと、植物を燃やした灰に水を加えてできた上澄み、「灰汁（アク）」です。ちなみに、アルカリのアラビア語の語源は「灰」なんです。昔の日本では、米のとぎ汁とともに芋の茹で汁も汚れ落としに使われていたということです。<br />
    <br />
   <em>・レモン／オレンジの皮</em> <br />

    柑橘類の皮で汚れを落とすことができるのは御存じでしょうか？研究員Aの母親がよく、灯油の交換のあとにミカンの皮で手を拭いていました。あれは、単なる匂い消しだけではなく、油汚れを落とす作用もあるのです。これは、柑橘類の皮に含まれる「リモネン」という成分のおかげです。ちなみに、これは界面活性剤ではないので、石鹸と同じように汚れを落としているのではありません。とても「油」な成分なので、似た者どうしの油汚れを溶かして落としているのです。<br />
    <br />
    たかが石鹸といえども、意外と奥が深いものです。私たちの生活になくてはならない洗剤。でも、洗剤って水を汚しているのも確かです。これから、洗剤と賢くつきあっていかなきゃなあと研究員Aは珍しく殊勝な気持ちになったのでありました。<br />
  <p class="ref">参考サイト　<a href="http://www.live-science.com/index.html" target="_blank">石けん百科</a><br />
    参考文献　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4415010237/kasoken-22" target="_blank">スッキリきれいに暮らしたい　成美堂出版</a></p>]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/03home/cleaner.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">生活部門</category>
            
            
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:18:18 +0900</pubDate>
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            <title>003エントロピー増大の法則</title>
            <description><![CDATA[　研究員Aの天敵はお掃除。掃除が終わった瞬間は、目に見える達成感で実に気分が良いのものです。でも、研究員Bの散らかすおもちゃ、食べこぼし、どこからともなくやってくるホコリ、などなどであっという間に元通り。虚しい作業という気がしてなりません。でも、なぜ片付けても片付けても家はあんなに散らかるのでしょうか？その答えになる「かもしれない」物理学の法則、「エントロピー増大の法則」というものがあります。

<h4>エントロピー？</h4>
    「エントロピー増大の法則」とは、物理学の基本をなす重要な法則の一つです。またの名を「熱力学第２法則」ともいいますが、次のように表現されます。 <br />
<br />
<table width="250" border="1" cellspacing="0" bordercolor="#3366CC" align="center" cellpadding="3">
    <tr> 
      <td> <div align="center">**エントロピー増大の法則**</div></td>

    </tr>
    <tr> 
      <td valign="middle"> <div align="center"><img src="http://www.kasoken.com/images/fig/topics04.gif" width="208" height="38" /><br />
          系の全エントロピーはいずれの場合にも減少することはない。</div></td>
    </tr>
  </table>
  
<br />
まあ、何を言いたいんだかさっぱりわからないですよね。研究員Aもすっかり忘れています。まず、エントロピーって何さ？ってことですが、<em>状態の「乱雑さ」を</em>表しているものです。ちょっと大胆に翻訳してみましょう。そうすると、上に書いた法則は、 
  <br />

<table width="250" border="1" cellspacing="0" bordercolor="#3366CC" align="center">
    <tr> 
      <td> <div align="center">**エントロピー増大の法則（翻訳版）**</div></td>
    </tr>
    <tr> 
      <td valign="middle"> <div align="center">宇宙の乱雑さは絶えず増大している。</div></td>
    </tr>
  </table>

  
<br />
まだわかりにくいですね。要するに、エントロピー増大の法則は、<em>「散らかる」→「片づく」という変化がひとりでに起こることは、絶対にあり得ない！</em>ということを言っているわけです。<br />
    「なに当たり前のこと言ってるの。そんな法則、私だって知ってるわ」とお思いでしょう。でも、こんな当たり前のことが、数式をがちゃがちゃ変形して導き出されて、シンプルな数式で表現されているところが物理学の面白いところですよね。
  
  <h4>身近にはどんな例が？</h4>
    この法則、日常にもたくさん見かけることができるポピュラーな法則なんです。他の例を考えてみましょう。コーヒーに角砂糖を入れることを考えてみて下さい。<br />
    ・コーヒー＆角砂糖→甘いコーヒー <br />
    という変化は自然に起こりますが、<br />

    ・甘いコーヒー→ コーヒー＆角砂糖<br />
    という変化は決して起こりません。これは、コーヒー＆角砂糖のエントロピーが甘いコーヒーのそれよりも小さいからなのです。<br />
    あと、熱いモノと冷たいモノをくっつけておくと、しばらくすると両方とも同じくらいの温度になりますよね。逆は絶対にあり得ません。水を放っておいたら、氷と熱湯に分かれるなんて話はありません。これも、熱いモノ・冷たいモノと分かれている状態の方が物理学的に「秩序がある」状態だからなのです。
  
  <h4>部屋が片づかないのは当然</h4>
    ですから、部屋がどんどん汚くなるのも、当たり前の話なんです。それが「宇宙の理（ことわり）」なのですから。カオスになった部屋を見つめて、ため息つく必要はありません。家人に掃除の不徹底を指摘されたら、この法則を持ち出して煙に巻いてしまいましょう。って、研究員Aの場合は少しはちゃんと掃除すべきですが。 
    <br />
<p class="ref">参考　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4807903705/kasoken-22" target="_blank">物理化学（上）　P.W.アトキンス著</a><br />
  <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000077120/kasoken-22" target="_blank">ファインマン物理学(2)　R.P.ファインマン他著</a></p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/04topics/entropy.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">よもやま話</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">topics</category>
            
            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:04:48 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>003不思議な物質、水(1)-周期律表-</title>
            <description><![CDATA[　私たちの生活になくてはならない水。人体の6割は水分ですし、植物・動物にとってはなくてはならない存在です。普段はちっともそんなこと意識していませんが、水不足になると世の中がパニックになったりして、その大切さに気が付きます。実は、この水、物質の中では「異常」な存在なのです。でも、その異常さが我々生物にとっては大事なのです。では、今回は身近な存在である水の「異常さ」を通して、周期律表や水素結合についてお勉強してみましょう。では、一回目の今回は「周期律表」の話です。

<h4>メンデレーエフの周期律表</h4>
    　皆さん、<a href="http://www.kasoken.com/home/periodic.html" target="_blank">周期律表</a> 
    （クリックすると別ウィンドウで周期律表が開きます）というのは覚えていらっしゃいますか？化学の教科書の見開きに書いてあるアレです。化学を選択した方ならば、「すい・へー・りー・べー・ぼくのふね」という呪文で覚えさせられた（イヤな？）記憶が蘇るのではないでしょうか。この<a href="http://www.kasoken.com/home/periodic.html" target="_blank">周期律表</a>を見つけたのはロシアの化学者メンデレーエフ。彼の独創的かつ大胆な発見が化学の世界に秩序を与えたのです。この発見にまつわる話は面白いので、ちょとご紹介してみましょう。 

  
  <h4>元素の発見を「予言」</h4>

    　 メンデレーエフは無機化学の教授でした。その彼が1867年、化学の教科書の執筆中に起きたできごとです。カードに元素の名前を一つずつ書いて並べて考えているうちに、「元素をその原子量の大きさの順序に並べると、その性質が周期的に変わる」ことに気がついたのです。原子量というのは、とりあえず元素の重さを表すものだと解釈してOKです。でも、当時はまだ発見されていない元素がたくさんあります。そこで、彼は大胆にも「今後こういう元素が発見されるはず」と何箇所か空白の欄を作ったのです。これがメンデレーエフのすごいところ。つまり、「原子量がこれこれで、こんな性質の元素があるはず」と予言してしまったのですね。元素を予言してしまうなんて格好良すぎ！以後彼の予言通り新しい元素が次々と発見されるわけです。メンデレーエフは草葉の陰でほくそ笑んでいたに違いありません。そして、彼の功績を讃え、101番めに発見された元素には「メンデレビウム(Md)」という名が付けらています。<br />
    <br />
    　この周期律表、縦に並んだ元素はとても良く似た性質を示します。例えば、<em>「何と反応する？」</em>とか。さらに、同じ縦の並びでも、お隣さんは良く似ています。例えば、<em>何℃で沸騰するか？</em>というのでも、その温度は上から順番にきれいに並ぶのです（基本的には）。<br />
    　無味乾燥に見える周期律表でも、じーっと眺めていると面白いものが結構見つかります。例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)と縦に１列に並んでる！とか（<a href="http://www.kasoken.com/home/periodic.html" target="_blank">中央下の赤枠参照</a>）。へー、ナトリウム(Na)とカリウム(K)って隣同士なんだねえ（<a href="http://www.kasoken.com/home/periodic.html" target="_blank">左側の赤枠参照</a>）、とか。え、あまり面白くない？

  
  <h4>そっくりなはずの「水」と「硫化水素」</h4>
    　水の話の導入なのに、周期律表の話が長くなってしまいました。化学が好きだった者の例に漏れず、周期律表を愛していた研究員A。ついつい筆が走ってしまいます。さて、本題の「水」に入りましょう。<br />
    　 皆さんご存じのとおり、水の化学式はH<font size="-2">2</font>O。水素(H)がふたつに酸素(O)がひとつだけ、くっついた構造をしています。また周期律表を見ると、酸素(O)の下にある物質は硫黄(S)です（<a href="javascript:OpenWin()">右上の赤枠参照</a>）。ですから、化学の法則でいうならば、H<font size="-2">2</font>S、つまり硫化水素も水と良く似た性質になるはずなのです。ちなみに、硫化水素というのは意外と身近に存在する物質です。多量に吸い込むと人体には有毒ですが。卵が腐ったような臭いと表現されます。いわゆる「温泉のにおい」を構成しているのは硫化水素です。あと、もちろん卵にも含まれています。さらに、オナラの臭さも硫化水素のせいです。<br />
    　周期律表の原則からいくと、似ているはずの水と硫化水素。でも、ちっとも似ていないですよね。まず明らかなのがその「臭い」。無臭の水に対して、卵の腐った臭いの硫化水素。そして、水は常温（室温）では液体ですが、硫化水素は気体です。<br />

    　もう少し、この二つの物質の性質を比べてみましょう。 
  
  <h4>100℃で沸騰、0℃で凍る不思議</h4>
    　水は、100℃で沸騰し、0℃で凍ります。こんなこと小学生でも知っています。でも、実はこれが水のとんでもない異常さの一つなのです。<br />
    　<a href="http://www.kasoken.com/home/periodic.html" target="_blank">周期律表</a>のすごいところは、物質の沸点や凝固点（凍るときの温度）を割り出せることです。つまり、ご近所の沸点がわかれば、実際にその物質の沸点を測定しなくても予想ができてしまうのです。硫化水素は、実際にその規則通り、マイナス何十℃の世界で沸騰したり、凍結したりします。水は、規則通りなら、本当はマイナス80℃で沸騰し、マイナス100℃で凍り、たった20℃の幅でしか液体であり得ないはずです。<br />
    　しかし、水は一般的な化学の法則から外れて、常温（室温）にまたがる100℃という幅広い温度帯で液体を保ちます。<em>「常温にまたがる幅広い温度帯で液体を保つ」</em>という便利さはちょっとイメージしにくいかもしれません。ちょっと、バターを例にとって考えてみましょう。<br />

    　バターは冷蔵庫の中では固体ですが、30℃台後半になるとすぐに溶け出してしまいます。バターを手で扱って作るパイが作りにくいと言われるのはこの理由です。もし、バターが70℃くらいまで固体の状態を保ってくれるものであれば、パイやタルトはもっともっと作りやすくなるはずです。つまり、「常温にまたがる幅広い温度帯で液体を保つ」水は、その異常さのおかげで、なにかと扱いやすい物質となっているわけです。
  
  <h4>もし「水」じゃなかったら？</h4>
    　地球上にこの「異常な物質」である水が大量に存在したからこそ、この生き物が栄える惑星になったと言えます。私たちの祖先である「最初の生き物」も水から誕生しました。もし、これが水ではなく硫化水素だったらどうだったのでしょうか。ひょっとしたら硫化水素を主成分とした生物が誕生したかも（ないとは思いますが）？？そんなことをテキトーに考えてみるのもちょっとしたSFで楽しいですよね。そんな生物にとっては水が臭くてたまらないのかもしれません。でも、この広い宇宙のどこかには、水ではない物質を主成分とした生命体が存在するかもしれません。<br />
    <br />
    　次回は、この水の異常さがどれだけ生物に役に立っているか知るために、「水素結合」についてお話しする予定です。
  <p class="ref">
    参考サイト　<a href="http://ccinfo.ims.ac.jp/" target="_blank">岡崎国立共同研究機構 計算科学研究センター 
    </a><br />
  参考文献　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4388250864/kasoken-22" target="_blank">お菓子こつの科学　河田昌子著</a></p>]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/03home/water01.php</link>
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:13:15 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>004二重らせん</title>
            <description><![CDATA[　20世紀の重大な科学的成果って何でしょうね。その人によって意見はまちまちでしょうが、「現代物理学の発展」と「DNAの構造の解明」の二つは外せないと思います。今回は、そのDNAの構造を解明したワトソンの伝記、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406183715X/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「二重らせん」</a>についてご紹介します。

<h4>駆け出しの二人が</h4>
  「デオキシリボ核酸の構造」と題された、わずか数ページの論文で生物学に革命を起こしてしまったワトソン-クリック。ちなみに、「ワトソン-クリック」という一人の人物ではなく、「J.D.ワトソン」と「F.クリック」という二人の人物のことです。どうやら、よくセットにされるものだから同一人物と間違えられたことが多かったとか。この二重らせんのモデルの提唱をしたときの二人は、若いかけ出しの研究者。クリックは30代半ばですし、ワトソンに至っては24歳！24歳ですよ。

<h4>ワトソンってどんな人？</h4>
  その弱冠２４歳で二重らせんのモデルを提唱したワトソン君はどんな人物だったのでしょうか。この伝記を書いているのが彼なのです。勝手な感想ですが、科学者というよりは、「優秀なプロデューサー」という印象が強いです。もちろん、科学者としてもすごいとは思います。でも実際、その後を追ってみると、科学者というよりはむしろプロデューサーとしての活躍ぶりです。その後はあまりぱっとした論文は出していないようです。しかし、教科書中の教科書といわれる（らしい。研究員Aは読んだことがない）Molecular 
  Biology of the Genesの執筆。分子生物学者のメッカといわれるコールド・スプリング・ハーバー研究所長として後進の育成に専念。そして、このベストセラー<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406183715X/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「二重らせん」</a>の執筆。<br />

  <br />
原書のペーパーバック版にはワトソンの写真もいくつか載っています。若い頃の彼は、髪の毛もぼさぼさでかなり「やばめ」な感じを醸し出しています。理系にありがちといえばありがちなんですが。アリーmyラブに出てくるジョン・ケイジ（という変人だけど優秀な弁護士）を彷佛とさせるようなルックス。でも、後年の写真を見ると、タキシードをばりっと着こなす立派な紳士。人って洗練されるものだわ。立場が人を変えるのでしょうか？ 
<h4>そしてクリックは？</h4>
  一方、クリックはどんな人物だったのでしょうか？先にも書きましたが、二重らせんのその論文を発表するまでの彼は博士号を持っていない30代半ばの研究者。しかも彼の実力はそれほど周りに認められていなかったようです。いつでもどこでもべらべらと自分のアイディアをドラ声で喋りまくる彼。でも、残念ながら当時はその割には結果が伴っていなかったため、「口ばっかりの奴」と思われていた節も。ただ、学内の色々な研究室を渡り歩いては研究の内容に首を突っ込み、おせっかいな（？）アドバイスをして帰るというのが日課だったとのこと。根っからの研究好きです。クリックの場合は、いかにもな「天才科学者」らしい人物だと言えそうです。変人との区別が難しいところもなおさらです。クリックは、二重らせんの成果以後も研究者として様々な成果を収めています。

<h4>アンフェアなノーベル賞？</h4>
  このDNAの構造を解明するためには、「X線回折」という手法でとった写真が欠かせません。ちなみに、レントゲンを撮るときにもX線は使われています。当然のことながら、このDNAのX線写真は誰にでも撮れる代物ではありません。熟練したワザが必要です。ワトソンもクリックもその専門家ではありませんでした。<br />
  そして、R.フランクリンという女性研究者がその専門家であったわけです。この<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406183715X/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「二重らせん」</a>にも登場するのですが、ワトソンの筆にかかるとひどい言われようです。頭がかたい、頭が悪い云々。ワトソン自身もあんまりだと思ったのか、「エピローグ」で彼女の描写に対するフォローを入れていますが。

<p> 彼女は、ボスと非常に仲が悪かったらしく、彼女の撮った写真は上司のモーリスに無断でコピーをとられていました。そのコピーをモーリスに見せてもらったワトソン。そのコピーのお陰で二重らせんのモデルを作る確証を得たのでした。彼女の撮った写真には決定的な証拠が示されていたのです。しつこいようですが、このコピーはフランクリンに無断でとったものです。しかも、最終的には彼女は論文にも名前が挙げられている程度（詳しくは後述）。なんだかアンフェアな気がするのですが。でも、先陣争いをするような研究ではこんなことは日常茶飯事なのでしょうか？むむ。<br />

  <br />
  このフランクリンという女性科学者、実際は優秀な研究者だったようです。ただ、彼女の悲劇は当時の女性研究者に対する無理解・差別によるものです。そのせいで、肩ひじはって生きていかなければならなかった彼女。ワトソンの彼女に対する誤解はそこから来たものです。彼女は、二重らせんの発見の2年後、癌でこの世を去っています。健在であれば、彼女もノーベル賞の受賞者候補であったと言われているのですが。。。栄光の影に悲劇の女性あり。

<h4>潔い「敗北者」たち</h4>
  この<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406183715X/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「二重らせん」</a>を読んでいてとても印象的だったのが、ワトソン-クリックがこの成果をあげたときの周りの研究者達の反応です。どちらかというと、このレースの勝利者である二人はダークホースだったわけです。よっぽど周りの人たちは悔しがるかな、と思いきや、皆さんとてもストレートに賞賛の言葉をかけ、しかもこの発見に対して素直な喜びを表現しています。ワトソン-クリックがライバルとして目標にしていた化学会の巨匠、L.ポーリングも同じ反応です。ポーリングなぞは自分こそが第一発見者になるに違いないと信じていたと思うのですが。それでも潔い態度。<br />
  きっと、この二重らせん構造が外観も美しい上に、DNAの複製のメカニズムも示唆しているという文句無しのモデルだから、ということもあるかもしれません。科学的にみて素直に面白がることができる結果ですし。あとは、サイエンティストとしてのプライドもあるかな？

<h4>巧妙な表現のオンパレード</h4>
  そういった背景を知った上で、そのNatureに掲載された論文を読んでみると、実に行間に意味が含まれていることがわかります。短い論文だけあってなおさらです。ちなみに、Natureというのは、イギリスの学術誌です。学術誌というのはれっきとしたランクがあります。「この雑誌に掲載された論文は平均何回他の論文に引用されるか」という数字、Impact 
  factorなるものでその位置付けがされています。科学者はなるべくこのImpact factorが高い雑誌に投稿しようとします。そこの雑誌に却下されたら下のランクの雑誌に、という具合に。そのランクが最高峰の雑誌としては、このNatureとScience（アメリカの雑誌）が挙げられるわけです。<br />

  <br />
  ちょっと話が横路にそれましたが。そのNatureの論文、この背景を知った上で読んでみると、実に多くの意味が行間に含まれていることがわかります。短い論文だけあってなおさらです。例えば、前述の女性研究者フランクリンの結果に対してきちんとした「引用」という形をとっていません。最後に謝辞でお礼を述べてはいるのですが、その言い方がすごい。彼女の実験結果のgeneral 
  natureが役に立ったというのです。general natureって何のこと？要するに、「別に、彼女の結果じゃなくてもわかるような一般的なこと」といいたいのでしょうか？彼女の撮った写真がモデルを作るのに決定的に役に立ったのに、その言い方はひねくれてますよね。フェアじゃないなあ。<br />
  これは一例ですが、こんな表現のオンパレードです。この論文をメインに書いたのはどちらか解りませんが、いずれにせよ小狡い、いやもとい頭の切れる人であることは確かです。

<h4>言いたい放題</h4>
  この<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406183715X/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「二重らせん」</a>、思いっきり著者ワトソンの主観で書かれた文章です。この人に対しても言いたい放題、あの人に対しても言いたい放題。あまりにもあまりなので、他の人の言い分も聞きたくなってしまうくらい。でも、この伝記の面白さはこのお陰なのでしょう。若さゆえの傲慢さと、溢れる熱意を持った駆け出しの研究者の視点で書かれた物語。その彼がどのようにして生物学に革命を起こす発見を成し遂げていったのか。科学の内容なんかわからなくても、歴史を変えた出来事にまつわる人間模様を書いたノンフィクションとして十分楽しめます。お薦めです。
<p class="ref">参考：<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406183715X/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「二重らせん」　 
  J.D.ワトソン著　江上不二夫他訳</a><br />
  <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4062571099/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">「理系のためのサバイバル英語入門」　東大サバイバル英語実行委員会編</a><br />

  <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0140268774/kasoken-22/ref=nosim/" target="_blank">&quot;The 
  Double Helix&quot; James D. Watson（著）<br /></a></p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/04topics/double_helix.php</link>
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:11:05 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>004不思議な物質、水(2)-水素結合-</title>
            <description><![CDATA[　前回の「不思議な物質、水(1)-周期律表-」では、周期律表のお話から、「いかに水が異常な物質であるか」ということをご説明しました。でも、水の不思議な性質はこれだけではないのです。今回は、「水素結合」のお話から、水の面白い性質を探ってみましょう。

<h4>水と水の間にも引力が</h4>
    　コップの中に入った水を見て下さい。普通に見ていると、ただの見慣れた水です。さて、あなたが「水の１つの分子」と同じくらいの大きさになってコップの中に入ってみると。。。どんなことが起きているのでしょうか。<br />
    普通に見ると、水面が凪いだ「静かな」状態ですよね。でも、小さい小さい目で見ると、１こ１この水はぶんぶん動いているのです。でも、水の場合は分子が自由に動き回っているわけではありません。なぜかと言うと、分子と分子の間には「引力」が働いているからです。リンゴが木から落ちたり、私たちが地球に立っていられるのも引力のしわざです。それと同じように、分子と分子の間にも引っ張る力があるのです。だから、水の場合は、完全に自由に動き回ることができないのです。<br />
    <br />

    　分子と分子の間に働く力。これは、水の分子だけではなく、どんなモノにも働いています。でも、水の間に働く力は、「水素結合」と呼ばれる特別なものなのです．この水素結合、他の分子の間に働く力よりも大きいのです。実は、前回からお話ししている水の異常さは、この「水素結合」のせいなのです。
  <h4>沸点・融点が異常に高い</h4>
    　 前回の「不思議な物質、水(1)-周期律表-」で、融点・沸点が異常に高いことをお話ししました。実は、これも水素結合のせいなのです。固体→液体→気体と変化させるためには、分子の動き回るパワーを大きくしてあげる必要があります。実は、「温める」「火にかける」ということは、熱を加えてこの動き回るパワーを注入してあげているのです。水素結合のパワーは大きいので「動き回るパワー＞水素結合のパワー」になるためには相当の熱を加えて水分子の動き回るパワーをたくさn注入する必要があります。だから、沸点（沸騰する温度）や融点（溶ける温度）が他の物質に比べると異常に高いのです。
  <h4>水は凍ると膨張する</h4>
    　缶ジュースを冷凍庫に入れて破裂させてしまった経験はありませんか？まあ、そんな劇的な経験はないにしても、残り物のシチューなどを冷凍するとき、容器の８分目程度にしておかないと膨張して大変なことになることは御存じでしょう。これは、水が凍ると体積が膨張することによるのです。これも、水素結合のしわざです。<br />
    　「水が凍ると膨張する」の逆を考えてみましょう。ということは、氷を圧縮すると水になるはずですよね。実際、そうなります。この性質を利用したのがスキーやスケートです。氷に体重で圧力をかけると、氷が溶けます。氷が溶けるから、滑ることを楽しむことができるのです。スキーやスケートができるのも水の変わった性質のおかげ！<br />
    　この「水が凍ると膨張する」という性質は、地球の営みの上で実に大切なものです。
  <h4>氷は水に浮かぶ</h4>

    　アイスコーヒーの中に氷が浮かんでいます。これは、私たちにとっては当たり前の現象です。他の普通の物質は固体になると重くなるので、沈みます。バターも融けた方が上に、固まった方は下にあります。氷が水に浮かぶというのも、実は不思議な現象なのです。この理由も、「水が凍ると膨張する」すなわち、「同じ体積では氷の方が軽い」からだと言えます。氷が浮くのも水素結合のしわざです。<br />
    　もし水が他の物質と同じ性質だったらどうでしょう。冬になって湖に張った氷は湖底に沈んで、春になっても太陽が当たらずどんどん溜まっていきます。北極の海底も氷で埋まっていくはずです。春になると氷が溶けるのは、表面に氷が浮いているおかげなのです。夏と冬がきちんと繰り返すのは、水だけが持つ特異な性質のなせる技なのです。
<h4>水が生物にとって大事なワケ</h4>
    　下の表を見て下さい。水と他の物質の「<em>気化熱</em>」「<em>比熱</em>」を比較しています。「<em>気化熱</em>」というのは、液体が蒸発するのに必要な熱量のことです。「<em>比熱</em>」は、液体が1℃上昇するのに必要な熱量のことです。他の３つの物質に比べて、水の値がそれぞれ2〜3倍だということがわかりますよね。明らかにこれも高いです。
  <table width="275" border="1" cellspacing="0" cellpadding="0" align="center">

    <tr bgcolor="#CC0000"> 
      <td colspan="3"> <div align="center">*水と他の物質の比較*</div></td>
    </tr>
    <tr bgcolor="#6699FF"> 
      <td width="81" bgcolor="#6699FF"> <div align="center">物質</div></td>
      <td width="93" bgcolor="aliceblue"> <div align="center">気化熱 [cal/g]</div></td>
      <td width="91" bgcolor="aliceblue"> <div align="center">比熱 [cal/g]</div></td>

    </tr>
    <tr> 
      <td width="81" bgcolor="aliceblue"> <div align="center">水</div></td>
      <td width="93"> <div align="right"><font color="#FF0000">540</font></div></td>
      <td width="91"> <div align="right"><font color="#FF0000">1.000</font></div></td>
    </tr>

    <tr> 
      <td width="81" bgcolor="aliceblue"> <div align="center">エタノール</div></td>
      <td width="93"> <div align="right">204</div></td>
      <td width="91"> <div align="right">0.581</div></td>
    </tr>
    <tr> 
      <td width="81" bgcolor="aliceblue"> <div align="center">メタノール</div></td>

      <td width="93"> <div align="right">263</div></td>
      <td width="91"> <div align="right">0.600</div></td>
    </tr>
    <tr> 
      <td width="81" bgcolor="aliceblue"> <div align="center">アセトン</div></td>
      <td width="93"> <div align="right">125</div></td>

      <td width="91"> <div align="right">0.528</div></td>
    </tr>
  </table>
<br />
    　<em>気化熱</em>が高いという事実は、生物の何に役立っているのでしょうか。<em>気化熱</em>が高いということは、蒸発するときに多くの熱を奪います。つまり、生物が汗をかいて、温度上昇を防ぐことができるのは水のおかげなのです。そして植物でも、葉の表面からの水の蒸発によって温度上昇を防いでいるもです。<br />
    　<em>比熱</em>が高いことはどう役に立っているのでしょうか。1℃上昇するにも多くの熱量が必要、ということは、周りの温度が上昇しても、ある程度水温の上昇は抑えることができます。だから、環境の温度変化が激しくても、水を主体とした生物は体温が変化しにくいようにできているのです。<br />

    <br />
    　 「水素結合」といわれても、目に見えないものなのでイメージが捕らえにくいかもしれません。でも、生物が生きているのも、地球が凍り付かないのもこの「水素結合」のおかげだと思うと少しは親しみが湧くでしょうか？目には見えないけど、水分子ひとつひとつの間に働く小さい力のおかげなのです。
  <p class="ref"><br />
    参考文献　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4816327983/kasoken-22" target="_blank">図解雑学「細胞のしくみ」　新免輝男著</a><br />
  </p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/03home/water02.php</link>
            <guid>http://www.kasoken.com/03home/water02.php</guid>
            
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:24:24 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>005宝石の科学-結晶-</title>
            <description><![CDATA[　たかが石とはいえ、その美しさに惑わされた人たちによる禍々しいエピソードも多く残されている宝石。でも、宝石って好きな人と興味を示さない方と両極端ですよね。ちなみに研究員Aは俗っぽいせいか好きです。特にダイヤモンドの輝きにはクラクラきてしまいます。今回は、その宝石の美しさを科学的に探ると同時に、「結晶」についてお勉強してみましょう。 

<h4>結晶</h4>
    　固体の物質のうち、多くの物質は一つ一つの原子（など）が規則正しく並んでいます。このようなものを結晶と呼びます。世の中にある多くのものは結晶です。キレイに分子や原子が並んでいるのです。例えば、金属もそう。食塩もそうですし、今日のテーマである宝石のうち殆どは結晶です。<br />
    <br />
    　食塩も宝石も同じ結晶です。では、なぜ宝石は貴重で美しく見えるのでしょうか？結晶にはひとかたまりが多くの結晶粒から成る多結晶体と、ひと塊全部が一つの結晶である単結晶があります。多結晶体では、粒と粒の間にある不純物などによって光が散乱します。光が散乱するということは、私たちの目には不透明に見えることになってしまうのです。<br />
    <br />
    　一方、単結晶である宝石はどうでしょうか？こちらはただ一つの結晶から成るので、光が散乱を起こすことなくまっすぐ進んで透明に見えます。この単結晶を得ることは非常に難しいのです。宝石が価値ある理由の一つといえるでしょう。<br />

    <br />
    　 ちなみに、身近な塩や砂糖だって、上手に単結晶を作るとこんなにキレイなんです。<a href="http://isweb29.infoseek.co.jp/school/asaitou/kesshou/myou-040.html" target="_blank">こちらのサイト</a>をご覧下さい。硫酸銅の単結晶なんてまさに宝石にしたい美しさですよね。ただ、これらの単結晶は安定ではないことが残念！ 
  
  <h4>宝石の王様・ダイヤモンド</h4>
    　宝石の王様と言えばダイヤモンドでしょう。なぜダイヤモンドはこんなに美しく、人々に重宝がられるのでしょうか？これは、ダイヤモンドの「硬さ」と「光を操る性質」の二つが大きな理由です。<br />
    <br />
    <h4>ダイヤモンドの硬度</h4>
    　ダイヤモンドに傷をつけることができる唯一の物質はダイヤモンドです。その無比の硬度を誇るダイヤモンド、その硬さは結晶の構造によるものです。<br />

    <br />
    　食塩や金属も同じく結晶ですが、ダイヤモンドとは一つ一つの原子（分子）の結合の仕方が違います。ダイヤモンドの結合は「共有結合」といって、他の結合の仕方よりも強い結合なのです。ちなみに、ダイヤモンドの成分は炭素ですから、いくら硬いとはいえ簡単に燃えてしまいます。<br />
    <br />
　また、同じ炭素原子の共有結合でも、結合の配列の違いで別物になります。配列が違うと、「黒鉛」です。これは、鉛筆の芯に使われるものです。 　ダイヤモンドのこの比類ない硬さのおかげで、何よりも滑らかな表面を作ることを可能にし鏡のような表面反射をつくり出すことができるのです。 </p>
<h4>ダイヤモンドの光を操る性質</h4>
    　ダイヤモンドは光を操る性質も特別です。それは、「屈折率」と「分散率」が高いことによるものです。<br />
    <br />

    <h5>・高い屈折率</h5><br />
    　光は材質の違うものが接した境界でその進路を曲げます。これを「屈折」と言います。水の中でモノの入っている位置が見当がつかなくなるのも「屈折」のせいです。ダイヤモンドは、この屈折する度合いが大きいのです。<br />
    <br />
    　屈折する度合いが大きいことはその美しさとどう関係があるのでしょうか？屈折率の高いダイヤモンドは、より広い角度の光を内部に取り込み内部で反射して、より多くの光を再び外に放つことがるのです。これが、ダイヤモンドの輝きになります。<br />
    <br />
    <h5>・高い分散率</h5>
    「分散率」とは聞き慣れない言葉だと思います。でも、三角形のガラスのプリズムを通した光が、七色の虹の色に分かれるのを御覧になったことはありませんか。あれが、「分散」という現象なのです。<br />

    <br />
    　分散とは、光の色によって屈折率が違うことから起こる現象です。光の色によって、物質の境界面で光の曲がる方向が異なるのです。だから、ただの白い光がプリズムなどを通すことによって、七色の虹になるのです。そして、この現象から、実は白い光がたくさんの色の光が混ざってできていることもわかるのです。<br />
    <br />
    　ダイヤモンドが分散率が高いということは、この光を七色に分ける性質があるということなのです。だから、あんなにキラキラ輝いて見えるのです。<br />
    <br />
    　 そして、ダイヤモンドのこの光を操る性質を最大限に生かすために、昔から様々なカットが考案されてきたのです。カットを施さないダイヤモンドは、単なる石にしか見えませんから。
  
  <h4>ルビーとサファイア</h4>
    　強い生命力を思わせる真紅のルビーと、深い神秘性をたたえた濃青色のサファイアは、対照的な雰囲気をもつ宝石ですが、実は主成分は全く同じものなのです。主成分はどちらも同じ酸化アルミニウム(Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>)。<br />

    <br />
    　そして、ルビーとサファイアにとって大事なのは、「不純物」です。不純物が含まれていなければ、無色透明になってしまいます。不純物のおかげであの深い発色が得られるのです。ルビーの不純物は「酸化クロム」によるものです。一方、サファイアの不純物は酸化鉄と酸化チタン。このちょっとした不純物の違いであの対照的な雰囲気が生まれるのです。</p>
  
  <h4>サビたアルミニウム？</h4>
    　さて、主成分である酸化アルミニウム。これは、酸化をここで「サビる」と表現するならば<a href="#tyusyaku">（注）</a>、ルビーとサファイアは主にアルミニウムがサビたものからできていると言うことができます。ということは、アルミホイルもそのうちルビーやサファイアに？ってこれは言い過ぎですが。既にサビて（酸化して）しまったものだから、ルビーやサファイアはこれ以上変質することがなく安定なのです。

 <br />
　実は炭素であるダイヤモンド、実は酸化したアルミニウムであるルビーとサファイア。宝石の女王と呼ばれる真珠だって、実は卵の殻と同じ成分です。まあ、でもいくらそんなことが解ったとしても、キレイなものはキレイですものね。その成分を云々するのは不粋なことかもしれません。<br />
    <br />

    <a name="tyusyaku"></a>（注）物質が酸素と結びつくことを酸化といいます。サビるという現象の他にも、食品が発酵すること、食品が腐ること、鉄のフライパンを焼いて皮膜を作ることも全て酸化という現象です。</p>
  <p class="ref">
    参考文献　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000077120/kasoken-22" target="_blank">ファインマン物理学(2)　R.P.ファインマン著<br />
    </a><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4563090573/kasoken-22" target="_blank">化学精義（上巻）　竹林保次著</a><br />
参考サイト　<a href="http://www.yk.rim.or.jp/%7Eofukumot/index.html" target="_blank">福本修の宝石鉱物小事典<br />
    </a><a href="http://isweb29.infoseek.co.jp/school/asaitou/" target="_blank">斎藤の部屋（理科）</a> </p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/03home/gem.php</link>
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:31:40 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>005量子力学？</title>
            <description><![CDATA[　片づけの苦手な研究員Aはパソコンの中もぐちゃぐちゃ。研究員Aのデスクトップを見た所長は、「こんな汚いの見たことがない」とまで言います。一念発起してパソコンも片付けていたら、大学卒業時にサークルの文集（みたいなもの）に寄稿したモノが出てきました。懐かしいので、ちょっと加筆訂正して取り上げてみます。青臭〜い内容ですが、22歳のときに書いたもの、ということでご容赦下さいませ。「電子の居場所は？」というお話です。

<h4>基礎知識としての量子力学</h4>
  電子の話をするために、ちょっとだけ「量子力学」について触れておきます。「量子力学」は、原子とか電子とかのミクロな世界を説明するために成立した物理学です。半導体技術を初め、現代を支える科学技術は量子力学のおかげ、というくらい私たちには有り難い学問です。でも、この理論、普段の生活からしてみると「非常識」のオンパレード。

<h4>アインシュタインの敗北</h4>
  その「非常識」のひとつを取り上げてみましょう。ミクロの世界での物理現象は、「偶然」と「不確かさ」に支配されているというのです。私たちは、物理って理論に基づいた計算で、「何がどうなるか？」を「びしっ」と教えてくれるんじゃないの？と思っていますよね。それが、量子力学によるとミクロの世界では「不可能だ」というのです。<br />
  この考え方は、かのアインシュタインにも受け入れがたいものでした。「神はサイコロを振らない」と言って、物理の世界が確率や偶然で決まるわけがないと主張したのです。量子力学の巨匠、ボーアと有名な論争をしたというエピソードが残されています。結局、この論争はアインシュタインの負け。でも、アインシュタインは終生この考えを受け入れなかったと言います。<br />

<h4>高校で教わったことは間違い？</h4>
  というわけで、我々とっても受け入れがたい考え方ですが、とりあえず話を先に進めるためにも受け入れて下さい。原子は、原子核の周りにい電子がぐるぐる回っていると高校では教わります。でも、実際はそれは誤りなのです。電子の居場所を「ここにいる！」と定めることができないのです。「この辺にいる確率が○%、この辺にいる確率が△%」としかわからないのです。<br />
  じゃ、なんでそんな間違いを学校で教えるのか？という疑問が生じますよね。でも、例の土星のような原子のイメージは、原子の性質を説明するのにちょうど良いからです。そして、量子力学は高校レベルの物理では不要だからなのです。

<h4> たった一つの束縛が？</h4>
  さて、普通の金属の場合などの電子の居場所を量子力学で計算してみましょう。先ほども書いた通り、「ここ」と答えを出すことはできませんが、「この辺り」と言うことはできます。金属の場合は、電子は原子に束縛されている状態です。計算すると、数オングストロームの領域にいる、という答えが出ます。オングストロームというのは1000万分の1センチ。本当に狭い領域です。<br />
  そして、何の束縛のない電子（自由電子といいます）の場合はどうなるでしょう？なんと、全宇宙空間という答えになるんです。1000万分の1センチとは相当の差ですよね。でも、この差を作っているのは、たった一つの束縛だけなのです。すごいですよね。だって、たった一つの束縛があるかないかでこんなにも存在できる領域が変わってしまうなんて。

<h4> いろいろな「物差し」が「束縛」に</h4>

  で、そんな事実を知って思ったこと。人間って知らないうちに、いろいろな「物差し」で物事をはかっていたりします。たとえば、「損得」。あと、「社会的地位」だとか「他人の評判」とかも物差しになり得ます。そういった物差しは生きていく上で便利なときもあるのですが、それが束縛の原因になったりもする。「損得勘定」してみてつまらないこと考えたりする。物差しに自分を当てはめてみて上だ、下だと思うからコンプレックスにもなったりもする。だから、電子だって束縛されてないとあんなに存在領域が広がるんだから、人間だって同じだろうなあって思うのです。

例えば、「子育て」。「子育ては損か？」という記事がAERAという雑誌に取り上げられて、話題になったことがあります（詳細は<a href="http://www3.asahi.com/opendoors/span/aera/survey_archive.html" target="_blank">こちらのサイト</a>で）。確かに、子育て中って、自分の自由時間はなくなるし、お金はかかるし。実際AERAに寄せられた意見では「損」と答える人が45%を占めていたということ。でもその「損」と答えた人のうち、「子供を産まない方が良かった」と答える人は皆無。子育てって損得じゃはかりしれないモノがたくさんあるってことは子持ちの人ならばわかっていることですよね。でも、この辺って子供のいない人には伝わりにくいのも事実。<br />
  <br />
  あと、逆に、一見恵まれた「条件」を持っているような人でもそれが束縛になり得ます。例えば、「いい学校出たのだからそれなりに偉くならないと」と考えて人生の選択をする人は、可能性を狭めてしまっている。また、自分は「条件」が良いと自信を持っている女性が、結婚相手に様々な条件を要求して探し続けるとか。

<h4>必要なエネルギーは大きいけど</h4>
  とにかく物差しから自由になると可能性がものすごく広がるのでは？と思うのです。<br />
  実は、自由電子っていうのは束縛された電子よりも必要なエネルギーは大きい。だから、束縛されているときよりも多くのエネルギーは必要になるかもしれません。でも、「今、私はヘンな物差しに頼っていないか？」ということを自問自答しながら生きていきたいなーと思っています。<br />

  <br />
  本来は科学的事実から一般的な意味を引き出そうなんてナンセンスなんですけどね。でも、「科学を生活に役立てる」カソウケン的にはセーフということでご容赦下さい。そもそも役に立たない？とほほ。
<p class="ref">参考サイト：<a href="http://homepage2.nifty.com/einstein/" target="_blank">アインシュタインの科学と生涯</a><br />
  <a href="http://www3.asahi.com/opendoors/span/aera/survey_archive.html" target="_blank">AERA読者インターネットアンケート<br />
  「子育ては損か？」連載記事</a><br />
</p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/04topics/quantum.php</link>
            <guid>http://www.kasoken.com/04topics/quantum.php</guid>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">よもやま話</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">physics</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">topics</category>
            
            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:22:53 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>006永久機関</title>
            <description><![CDATA[暑いなーと思えばクーラーをつけ、階段は疲れるからとエレベーターに乗る。こうして限りあるエネルギーを消費し続ける研究員A。なんとも地球に優しくない、根っからのぐうたら怠け者です。
　「じゃあ、エネルギーを消費しないキカイを作ればいいじゃない」と思いますよね。なんてエコロジーな夢の機械。このような機械のことを「永久機関」といいます。かの万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチも一時期この永久機関の研究に凝っていたとのこと。ダ・ヴィンチのみならず、これまで多くの発明家がこの永久機関の実現を夢見てきました。
　でも、残念なことにこの永久機関、熱力学第1法則および第2法則からその実現は不可能であることが証明されてしまうのです。それでは、今回は永久機関を通して熱力学第1法則についてお勉強してみましょう。

<h4>熱力学第1法則</h4>
  　熱力学第1法則とは、別名エネルギー保存則。物理学界で最強の法則の一つと言われています。<br />
<br />

<table width="200" border="1" cellspacing="0" cellpadding="0" align="center" bordercolor="#CC0000">
  <tr> 
    <td bordercolor="#CC0000">自然界におけるエネルギーの総量は一定不変に保たれる</td>
  </tr>

</table>
<br />
  　ただ、これだけのシンプルな法則です。エネルギーというものは熱になったり電気になったりと形を変えます。クーラーが部屋を涼しくする仕事をするのもエネルギーの一形態。自然界のエネルギーは、増えも減りもしないというのです。</p>

<h4>永久機関</h4>
  　そして、永久機関とは「外部から燃料やエネルギーを与えなくても永久に仕事をする」機械のことです。熱力学第一法則から考えると、「燃料を与えない機械」はどうなるでしょうか？初めに機械に貯えられたエネルギーをだんだん消費しながら仕事をして、最後には止まってしまいます。だから、永久機関は熱力学第一法則によって否定されてしまうのです。 


<h4>夫は永久機関か否か？</h4>
  　もっと直感的に理解するために、研究員Aのダンナ様、カソウケン所長に例えてみましょう。「研究員Bの寝かし付け、よろしくね」「今日は疲れたから洗い物お願い」「あした燃えるゴミの日だから」と所長に夢の永久機関として働いていただくと、どうなるでしょうか。結果は容易に想像がつきますよね。エネルギー切れを起こして体調を崩したり、はたまたお仕事に使う分のエネルギーまで消費して本業がおろそかになってしまいます。哀れな所長。彼も永久機関ではないのです。まあ、実際の所長の様子はみなさんのご想像にお任せするとして。<br />
  　所長には休息や研究員Aの優しい言葉が必要になるのです。優しい言葉がエネルギーになりうるかどうかはかなり疑わしいところですが。


<h4> 第2種永久機関</h4>
  　実は、永久機関には2種類あるのです。所長の例で説明したものは「第1種永久機関」。こちらは、熱力学第1法則によって否定されるものです。もう一つは、「第2種永久機関」。<br />
  　第2種永久機関とは、熱を全て仕事に変える機関です。言い換えれば、効率が100％の機関。実は、これは熱力学第2法則からあり得ないのです。ちなみに、熱力学第2法則は<a href="http://www.kasoken.com/04topics/entropy.php">「エントロピー増大の法則」</a>でご紹介した法則です。こちらの永久機関を騙ったものは仕組みが複雑です。熱力学第1法則は満たしているだけに、その間違いを見抜くのは困難になります。ちょっとやそっとじゃわかりません。<br />
  　効率が100%の機関があり得ない、ということは何を指しているのでしょうか。つまりどんなに効率の良い発電所を作ったとしても、何割かはエネルギーを無駄にせざるをえない、ということを示しています。どんなに頑張っても７割の効率が理論上の限界なのです。だからこそ、エネルギーの問題は難しいとも言えます。<br />
  <br />
  　永久機関が可能ならば、人類にとってはありがたい話なんですけどね。でも、そんな虫の良い話はないと熱力学の法則が教えてくれるのです。研究員Aも虫の良いことばかり考えて所長をこき使わずに、大事にしなければ。

<p class="ref">参考文献：<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781907210/kasoken-22" target="_blank">演習「物理化学」　渡辺啓著</a><a href="http://www3.asahi.com/opendoors/span/aera/survey_archive.html" target="_blank"></a>
</p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/04topics/perpetual_mobile.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">よもやま話</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">physics</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">topics</category>
            
            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:29:57 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>006分子の「利き手」-光学異性体-</title>
            <description><![CDATA[　普段何気なく使っていますが、右手と左手ってよくよく考えると面白い関係です。親指、人さし指、中指・・・と、一見同じ形をしています。でも、右手用の手袋を左手にはめることはできません。右手と左手は似ているようで実は違う形なのです。<br />
　分子にも右手・左手と同じ関係の「似ているけど違う一対の物質」が存在します。形の上ではたったこれだけの違いでも、生物に対してはまったく異なった働きをするのです。今回は、このような一対の物質「光学異性体」についてお話しします。

<h4>光学異性体って？</h4>
    　下の図を見て下さい。これは分子を模式化したものです。丸は分子や原子を表しています。AとBは同じ色の丸で構成されているので、化学式としては同一の分子です。
  <table width="200" border="1" align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" bordercolor="#CC0000">
    <tr> 
      <td bgcolor="#CC0000"> <div align="center">*光学異性体の関係*</div></td>

    </tr>
    <tr> 
      <td> <div align="center"><img src="http://www.kasoken.com/images/chiral.gif" width="170" height="134" /></div></td>
    </tr>
  </table>
  <p>　でも、よーく観察してみると解る通り、二つの構造は決して同じものではありません。片方をぐるぐる回転させても、もう片方に一致させることはできないのです。Aを鏡で映したときに表されるのがBなのです。このような関係の分子のことを「光学異性体」と呼びます。まさに、右手と左手の関係と同じです。以後、このAとBのことを分子の「右利き」「左利き」とわかりやすくするために呼ばせていただきます。<br />
    　たったこれだけの違いなのですが、この分子の「利き手」は人間に対してはかなり異なる影響を与えるのです。その例をいくつかご紹介しましょう。 </p>
  
  <h4>香りが違う</h4>

    　例えば、リモネンという物質があります。これも光学異性体の存在する物質です。片方はオレンジの香りのする物質です。でも、ペアになるもう一対の構造はレモンの香りがするのです。また、有名なところではカルボン。片方がミントの香りで、もう片方はキャラウェイの香りです。このように、アロマやハーブの世界ではこの分子の利き手が深く関わっているのです。化学式は全く同じ、でも人間の鼻で感じる香りが異なるのは面白いですよね。<br />
    <br />
<h4>片方は薬、片方は毒</h4>
    　手袋の場合であれば右と左を間違えた場合は、単に手にはめられないだけでたいした問題は起こりません。でも、光学異性体の右と左を間違えると、人体にとって大問題になる場合があります。1960年代に起きた鎮静剤サリドマイドの悲劇。サリドマイドは、右利きの型は鎮静剤として薬になるのですが、左利きの方は妊婦が服用すると胎児に奇形を起こす物質だったのです。<br />
    <br />
    　なぜこのような悲劇が起きてしまったのでしょうか？通常、光学異性体を人工的に合成しようとすると、右利きと左利きが混ざってできてしまうのです。必要な型だけを確実に人工的に合成したい、という科学者の夢を実現したのが名古屋大の野依良治教授。野依教授はこの成果で2001年にノーベル賞を受賞したのです。ちなみに、生物は必要な型だけを選んで合成することができるというのですから、よくできていますよね。

  
  <h4>人体に含まれるのはほとんど片方だけ</h4>

    　そして、人体に必須のアミノ酸や糖。これらも分子の利き手が存在する物質です。驚くべきことに、人体に含まれるアミノ酸は、全て左利きのものなのです。「台所部門」の<a href="http://www.kasoken.com/archives/01kitchen/umami.php">「ダシの科学」</a>でもご紹介したグルタミン酸。人間が旨味を感じるのは左利きのものであって、右利きはなぜか苦いだけとのこと。<br />
    <br />
    　そして、糖はほとんどが右利きのものが人体に含まれています。糖の場合は、右利きも左利きも甘味を感じることができるのですが、人体に吸収されるのは右利きのみ。この「人体に吸収されない」性質を利用して、左利きの糖が人工甘味料として使われています。<br />
    <br />
    　なぜこのように生物に含まれるのは「片方だけ」なのでしょうか？その謎は未だ解明されていません。この理由がわかったらそれこそノーベル賞級だそう。分子の「右利き」「左利き」。たったこれだけの違いですが生物のフシギさが伺えるのが面白いところですね。
  <p class="ref">
    参考サイト　<a href="http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/Physics/200110/16-1.html" target="_blank">Mainichi 
    INTERRACTIVE 科学環境ニュース<br />
    </a><a href="http://www5.ocn.ne.jp/%7Ereport/" target="_blank">こちらは気になる科学探検隊</a></p>]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/03home/chiral.php</link>
            <guid>http://www.kasoken.com/03home/chiral.php</guid>
            
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 21:39:32 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>007寺田寅彦</title>
            <description><![CDATA[「天災は忘れた頃にやってくる」という格言を誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？今回はその名言の作者である寺田寅彦氏の多面的な魅力をご紹介したいと思います。

<h4>八面六臂の活躍ぶり</h4>
  　寺田寅彦（1878~1936)はさまざまな業績を残した物理学者でありながら、随筆の名手としても知られています。あの夏目漱石に才能を見い出され、弟子であったことは有名な話です。夏目漱石の<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003101014/kasoken-22" target="_blank">「吾輩は猫である」</a>に登場する水島寒月氏という人物、あれは寺田寅彦がモデルなのです。

<h4>「吾輩は猫である」に登場</h4>
  　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003101014/kasoken-22" target="_blank">「吾輩は猫である」</a>を読んだ方は水島寒月という人物を覚えていらっしゃるでしょうか？苦沙弥先生の旧門下生であり、「学問最高の府を第一に卒業」した「天下の秀才」である理学士。作中では「首くくりの力学」なんていうふざけた講演の練習をしています。そして、ヴァイオリンを弾く好男子とも描かれています。寺田寅彦本人はモデルであることを否定していたようですが、この「水島寒月」像は寺田本人といえるでしょう。「甘いものが好きで歯が弱く、椎茸で前歯が欠けた」というエピソードも寺田寅彦本人のものです。<br />

  　作中での寒月氏、ひょうひょうとした人物で研究員A好み！なのですが、寺田寅彦本人もそうだったのでしょうか？

<h4>科学者は頭が悪くなくてはダメ？</h4>
  　寺田寅彦の作品は著作権が切れているので、インターネットの電子図書館<a href="http://www.aozora.gr.jp/" target="_blank">「青空文庫」</a>で彼の作品の一部を楽しむことができます。今の時代に生きる我々にとっては嬉しい話ですね。その中の随筆、<a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/terada/htmlfiles/terada02.html#atama" target="_blank">「科学者とあたま」</a>がお勧めなので読んでみて下さい。<br />
  　 <em>「科学者は頭がよいと同時に、頭が悪くなければならない。頭が悪くなければできないことはこんなにある。」</em>ということを言っています。「科学」を「人生」に置き換えて読んでも良いかもしれません。ふむふむ。日に何度も「私ってバカ？」ということをやらかす研究員Aにとって励まされる内容です（え、そーいう内容ではない？）。

<h4>科学者としての寺田寅彦</h4>

  　さて、そんな随筆を書く寺田寅彦はどんな科学者だったのでしょうか？彼の「X線による結晶解析の研究」は世界に誇るべき研究結果でありますが、どちらかというと「身の回りの科学に注目する」ことが彼の一貫した研究方針だったといえます。具体的には、「ガラスの割れ目」「金平糖の角の生成」「墨流し」「砂丘の波紋」などです。<br />
  <br />
  　これらの研究は、「役に立たない」「趣味の」「日本的な」という形容詞つきで非難されたようです。しかしながら、今見るとどうでしょう？まさに彼の研究は、現代、カオス・フラクタル、と名付けられて盛んに研究されている先端の分野だといえます。<br />
  <br />
  　さて、ここで先に取り上げた<a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/terada/htmlfiles/terada02.html#atama" target="_blank">「科学者とあたま」</a>に戻ります。当時、そのような身の回りのものを科学するという姿勢は、ある意味愚直な印象を受けます。当時は「カオス」「フラクタル」という概念がそもそもなかったのですから、いわゆる「あたまの良い人」には「やっても無駄」な研究と判断して、手をつけることはないでしょう。もちろん、寺田寅彦は東京帝大を主席で卒業したという秀才であり、「あたまの良さ」を持った人です。そのあたまの良さと、そんな現象の研究に挑戦してしまうという「朴念仁（彼の言葉を借りると）」ぶりを兼ね備えた寺田は、特筆すべき科学者であったと言えるでしょう。

<h4>寺田寅彦とバイオリン</h4>
  　その寺田寅彦、随筆と俳句の名手であったことは言うまでもありませんが、他にも様々な趣味を持った人でした。絵画（日本画・水彩画・油彩画）の作品も数百点制作し、カメラも趣味だったようです。また、映画に関しては批評文も残しています。<br />

  　中でも彼の人生で抜いては語れないものは「音楽」でしょう。なんと言っても、彼の博士論文のテーマは「尺八の音響学」です。上述の<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003101014/kasoken-22" target="_blank">「吾輩は猫である」</a>で水島寒月氏がバイオリンを弾くことのモデルになっているくらい彼のバイオリン好きは有名です。寺田寅彦、および水島寒月くんとバイオリンの関わりは、じゅんな♪さんのサイト「Stat 
  rosa」で詳しく描かれています。旧制高校時代など周りに隠れて山の山頂でバイオリンの練習をしていたようです。他にも、チェロ・ピアノ・オルガンなども弾いたようです。

<h4>科学はあくまで一手段？</h4>
  　彼の科学に関する随筆などを読んでいると、実に科学者として謙虚だなと思わせるものが多いです。先に紹介した<a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/terada/htmlfiles/terada02.html#atama" target="_blank">「科学者とあたま」</a>でも、「科学が人間の知恵のすべてであるもののように考えること」を警告しています。現代では科学が万能でなく、時に諸刃の剣となることは誰でも知るところです。でも、寺田寅彦が生きていた時代は科学万能信仰がまかり通っていたころ。そんな時代に科学を絶対視しなかった寺田寅彦。それは、彼にとって科学は単なる「世の中のしくみを知るための一手段」であり、それは俳句や音楽と同列だと考えていたからでしょう。<br />
  <br />
  　彼の随筆集<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003103777/kasoken-22" target="_blank">「柿の種」</a>を読んでいると、謙虚で、周りのもの全てに対して愛情深く、それでいて「朴念仁」な彼の人柄が伝わってきます。今は「効率の良いこと」が優先順位が高くなるギスギスした時代ですが、寺田寅彦のような人物が次世代に増えていったら、日本はステキな国になるんじゃないかな？と研究員Aは思っています。 


<p class="ref">参考文献：<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003103777/kasoken-22">「柿の種」　寺田寅彦著<br />
  </a><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003101014/kasoken-22" target="_blank">「吾輩は猫である」　夏目漱石著<br />
  </a>参考サイト：<a href="http://www1.odn.ne.jp/%7Ejunna_k/" target="_blank">Stat rosa<br />
  </a><a href="http://www2.neweb.ne.jp/wd/bunkyo/" target="_blank">高知県文教協会<br /></a></p>
]]></description>
            <link>http://www.kasoken.com/04topics/terada.php</link>
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:38:49 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>008片腕は雌ドラゴン？近代化学の父ラヴォアジェ(1)</title>
            <description><![CDATA[　あるとき『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4759807764/kasoken-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">化学物語25講</a>』という本を見ていたら、美男美女の肖像画が目に飛び込んできました。化学の内容のはずなのに、美男美女（？）。白いドレスをまとった女性が男性に寄り添い、それを愛おしそうに見上げる男性。その女性も美しいけど、男性の方も負けず劣らず男前！<br /><br />
<a href="http://www.kasoken.com/images/upload/lavoisier01.jpg"><img alt="lavoisier01.jpg" src="http://www.kasoken.com/images/upload/lavoisier01-thumb.jpg" width="200" height="266" /></a><br />
<br />
　その絵は『ラヴォアジエとその妻』と題された、あのナポレオンお気に入りだった画家ダヴィッドの作品。『ナポレオンの戴冠』『サン・ベルナール峠を越えるナポレオン』など、おそらく多くの人が見覚えのある絵を残している巨匠です。<br />
<br />
　　その『化学物語25講』には「ラヴォアジエ夫妻。夫人は実験記録をとるなど、夫の研究の手助けをした」というあっさりとした説明しかなかったので、この絵のラヴォアジエ夫妻にがぜん興味を抱いてしまう私だったのでした。肖像画とはいえ美男美女の化学者夫妻！　このラヴォアジエ夫妻、取り上げないわけにはいけません。<br />

<br />

<h4>近代化学の父</h4>
　さて、このラヴォアジエですが「質量保存の法則」「化学命名法の確立」など取り上げればきりがないほど化学の分野に貢献した人物です。「近代化学の父」と呼ばれますが、その名にふさわしい業績！<br />
　それまで錬金術の延長にすぎなかった化学を、精確な計量に注目することなどで「学問としての化学」に引き上げてくれた「化学革命」を起こした人。数学・物理分野でいう歴史的教科書といえば、ニュートンの『プリンキピア』。それと肩を並べる化学分野の『化学要綱』という著書も残しています。「質量保存の法則」などと一緒に、中学の教科書の初めの方にその名が登場しているから、ラヴォアジエの名に聞き覚えのある方も多いかも？

<h4>化学は趣味？　副業？</h4>
　当時、科学で身を立てることは極めて困難な時代でした。でも、実は彼の本業は、徴税請負人というフランス政府の高級財務官僚。そして、その前は法学部出身の弁護士。どちらにせよ、お金持ちです。<br /><br />
　ついでに言うと、実家もお金持ちでした。実家の資産と、本業から得た資産を化学研究に注ぎ込んでいたのですね。そのほかにもフランス銀行の前身である手形割引銀行の総裁に就任。科学界、政財界、官界、貴族社会のすべてに顔が利いた、という万能で顔の広い大物だったのです。

<h4>ほとんど失敗のなかった天才！</h4>
　　どんな天才でも生涯のうちにはトンデモ……とまではいかなくても、失敗とされる研究があるものです。アインシュタインが人生の長い間かけて研究した統一場理論もその一つですし、ニュートンも錬金術的化学にはまっています。でも、ラヴォアジエ場合はほとんど全てが成功と言われるものなんですよね。唯一、後世から見て「これは？」と思われるのは元素表に光と熱を入れたこと。でも元素表をはじめて体系化したことに比べるとささいなことです。<br /><br />
　ラヴォアジエの業績のひとつは、燃焼のしくみを解明したこと。当時は、燃焼は「フロギストン」と呼ばれる物質が空気中に出ていくこと、という説が主流だったのですが、彼流の精密な測定でそのフロギストン説を覆しました。そして、燃焼とは「酸素と物質が結合すること」と説明したのです。これは、化学界において大きな大きな進歩でした。<br /><br />

（続きます）
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">topics</category>
            
            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:43:11 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>009片腕は雌ドラゴン？近代化学の父ラヴォアジェ(2)</title>
            <description><![CDATA[<h4>ラヴォアジエの弱点</h4>
　化学者・エコノミスト・財政家……そんな万能なラヴォアジエにも弱点がありました。そうこなくっちゃ！　と思ってしまう私ってかなり意地が悪い？　でもパーフェクトな男性には魅力感じないのよね〜。と、まあそんな個人的な好みはともかく。ラヴォアジエの弱点は語学と絵画でした。あと、勘が良く見通しを立てるのは上手でしたが、実験の道具の細かい準備は得意ではありませんでした。
<br /><br />
 そんなラヴォアジエの弱点を補って片腕として活躍したのが夫人のマリー・アンヌだったのです。マリー・アンヌは超裕福なブルジョア、徴税請負組合の組合長の娘として生まれました。彼女の父は娘の結婚相手として「いかにも有望な若者」な部下、ラヴォアジエに目を付けたのです。ふーむ、実家も職業も奥さまもお金持ちだったんですね……。

<h4>学習環境としても幸せな結婚</h4>
　ラヴォアジエの生きた時代の上流階級の結婚は「形式上」のもので、既婚でも自由恋愛はあたりまえ、という時代でした。でも夫妻の場合はとても仲睦まじく（その様子は肖像画からも伝わってきますよね）夫のラヴォアジエはただひとりの愛人も知られていない、という当時の著名人としてはきわめて珍しい男性！<br /><br />

　たった14歳で15歳年上の夫と結婚したマリー・アンヌですが、これは当時としても早婚。でも彼女にとってはこれが幸いでした。上流社会の女性でも、当時としては得ることの極めて難しかった「教育」をふんだんに受けることができたのですから。ラヴォアジエと結婚したおかげで、ね。天才ラヴォアジエじきじきの指導に加え、彼の元には一流の科学者たちが集まっていて、その場にいながら「先端の科学」を身につけることができてしまう！　<br /><br />
　そして、ラヴォアジエの館には自分専用の化学実験室があるのですから。そこにある器具類はヨーロッパ随一のもの。ほとんどが特注で、びっくりするくらいのお値段。大ブルジョア・ラヴォアジエとの早婚のおかげで素晴らしい「科学的教育」を受ける環境を得ることができた、ってわけ。


<h4>語学も絵画も得意な美人妻</h4>
しかも、マリー・アンヌは絵画の才能にも恵まれていて、冒頭に紹介した夫婦の肖像画を描いた巨匠ダヴィッドから直々の指導を受けています。ちなみに夫婦の肖像画のお代金は七千フラン。1リーブル≒一万二千円として今の代金に換算するとなんと八千四百万円！　たった一枚の絵に……はあ。とまあ庶民のため息はさておき、ラヴォアジエの発行した教科書『化学綱要』の精密かつ正確な挿絵はそんな絵画の才能のあったマリー・アンヌの手によるものです。
さらに語学の苦手な夫のために、マリー・アンヌはラテン語、英語、イタリア語を身につけました。アイルランドの化学者、カーワンの『フロギストン論』など訳書をいくつも書いています。しかもマリー・アンヌの序文・注釈付きで発行したものも！　このことからも、彼女が化学の理論と実際に通じていたことがわかります。このように勉強熱心な右腕である上、美人妻ときた！　ダヴィドの作品や、彼女自身の手による肖像画からもその美しさは伺えます。それだけでなく実際、マリー・アンヌはフランス革命時に「パリの美人」リストに載ったこともあるんですよ〜。<br /><br />
<a href="http://www.kasoken.com/images/upload/lavoisier02.jpg"><img alt="lavoisier02.jpg" src="http://www.kasoken.com/images/upload/lavoisier02-thumb.jpg" width="200" height="236" /></a><br />
<strong>マリー・アンヌの手による自画像</strong><br /><br />

<h4>男の度量次第？</h4>
　ここで、男性陣はひょっとしたら「ちえ、いい嫁さんもらったものだな」と思うかもしれませんが……。才能ある妻と結婚しながら、その才を潰してしまった科学者だって少なからずいるのです。アインシュタインの最初の妻、ミレヴァしかり。ノーベル化学賞を受賞したフリッツ・ハーバーの妻、クララ しかり。ミレヴァはアインシュタインの同級生で物理学者を志していたにも関わらず、家事育児でその夢を断念。クララ・ハーバーも同じく科学者志望だったのですが、やはり家事育児で研究から遠ざかることになり、神経を病んでしまいます。さらに、夫の毒ガス開発に反対して、彼女は自殺してしまいます。妻の才能を活かすも殺すも、夫次第なのでは？　と思われる、二人の女性の事例ですね。
<br /><br />
（続きます）
<br /><br />
<p class="ref">【参考文献】
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4759807764/kasoken-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">化学物語25講―生きるために大切な化学の知識</a><br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4130603035/kasoken-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">エミリー・デュ・シャトレとマリー・ラヴワジエ―18世紀フランスのジェンダーと科学</a></p>
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:46:59 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>010片腕は雌ドラゴン？近代化学の父ラヴォアジェ(3)</title>
            <description><![CDATA[<h4>女は夜叉にも菩薩にもなる</h4>
　妻が勉強することを認め、ここまで「自分の仕事に立ち入らせてその功績を認めた」夫ラヴォアジエの男としての度量も相当なモノだ、と思うのです。『化学要綱』の挿絵には妻の署名を入れさせていますし、翻訳書にも彼女の名前を残しています。当時としては女性の名が入るのは珍しいことです。

<h4>あの女は雌ドラゴン</h4>
　ちなみに、先の話になってしまいますが、ラヴォアジエの死後、未亡人となったマリー・アンヌは科学者のラムフォード伯爵と再婚します。再婚後の生活のために行った彼女の館の改装工事で、マリー・アンヌは自分の書斎とラムフォードの実験室を専用の階段でつなげさせました。そのことからも「科学な結婚生活」の再現を夢見ていたのがわかりますよね。一方、ラムフォード伯爵にとって家庭とは、ただただ「主人である夫のやすらぎの場」であって欲しかったようです。妻が実験室に入りたがることも自宅のサロンを催すことも彼には我慢できなかったみたい。
結婚一周年で、ラムフォード伯爵は前妻との娘への手紙に「私はあの女を雌ドラゴンだと思って接している。これでもあの女には親切すぎるネーミングだと言っていい」なんて書いているくらい。その後、この夫婦はパリ中のウワサになるくらいのいさかいの末、離婚に至ります。<br /><br />
 雌ドラゴンと呼ばれたマリー・アンヌ。ラヴォアジエにとっては最高の右腕であり伴侶でしたが、ラムフォード伯爵にとっては最悪の組みあわせ。一人の男性の前でも、女は時には夜叉にもなるし、菩薩にもなる。え、経験したことがない？　そんなひとは幸せとも言えるし、人生の醍醐味を味わっていないといえるかも（ほんと？）。とりあえず、結婚って難しいものですねぇ……とお茶を濁しておきましょう。<br /><br />

<h4>彼の頭脳をつくるのは100年かかる</h4>
　さて、話はラヴォアジエが生きている時代に戻ります。裕福で何不自由なく生活を送っていたラヴォアジエ夫妻ですが、ときはフランス革命の時代。民衆の憎悪は王族に続いて徴税請負人にも向かいます。なんといっても徴税請負人自身は民衆から税金を取り立てる仕事をしていた人たち。憎しみが集中しても仕方ないことでしょう。政府に納めるべき金額よりも多く取り立てて、私腹を肥やしていた徴税請負人もいたようですし。<br /><br />

　実際、悪質かどうかはともかく、徴税請負人という仕事は高給取りだったことは確かです。当時「科学者」というのが職業として成立していなかった時代です。科学をするためにはお金が必要でした。そのためにラヴォアジエは徴税請負人としてお金を取り立てたり、さまざまな官職に就いていた、ともいえますが……。あるとき、科学仲間に「そんなにお金を取り立てることよりも、化学の研究に時間を費やしたら？」と言われたところ、何も答えなかった、という話も残っています。化学の研究のために徴税請負人という仕事についたのでしょうが、ひょっとしたら「裕福な暮らし」の維持のためでもあったかもしれません。なんといっても生まれも育ちもお金に苦労したことがない坊ちゃんですからね〜。<br /><br />
　それでも「私たちは不正な取り立て行為はしていない」と主張したラヴォアジエとマリー・アンヌの父（徴税請負人組合長だった）は自ら出頭するのです。不正な着服をしていないことを認めてもらうために、獄中で処刑の前夜まで徴税請負の収支決算書を作ったラヴォアジエ。その努力も虚しく、彼らは断頭台の露と消えるのです。数学者として有名な、同時代のラグランジュはラヴォアジエの処刑に対し「彼の首をはねるのは一瞬だが、彼の頭脳をつくるのは100年かかる」と嘆きました。確かにその通り！<br /><br />

<h4>マリー・アンヌの奔走</h4>
　妻、マリー・アンヌは夫と父が獄中にいたときに、その助命を求めて独力で奔走します。なぜか彼の業績を知っていて弁護できる立場にあったフランス学士院も、まったく救出のために動かなかったんですよね。妻以外、彼の命を助けようとしなかったことから「ラヴォアジエは天才特有の傲慢な性格だったから友人がいなかった」とか「ラヴォアジエの並外れた業績への嫉妬があったから」と言われたりするのですが。<br /><br />
　きっと、この恐怖政治の革命下「保身」から、関わりになって自分の命まで危なくなるのが恐かった、というのも大きかったんじゃないかなと私は勝手に想像します。だって、ろくな裁判もされずにギロチンにかけられてしまう体制下ですもの。そんなときは自分の命が惜しくなってしまうに違いありません。まー実際、ラヴォアジエの傲慢なキャラクターも伝えられていることも確かなのですが。<br /><br />
　そのマリー・アンヌの努力も虚しく、夫はギロチンにかけられてしまいます。そして彼女を襲う更なる不幸が！　財産を全て没収され、彼女自身も囚われの身になってしまいました。「もはやこれまで」と思われたとき、テルミドール九日を迎えたのです。恐怖政治が終わりを告げ、マリー・アンヌの命は助かります。ここからのマリー・アンヌの行動がすごい！　忍耐強く家屋敷などの不動産の他、亡き夫の本・家具・実験装置などを要求しついに自らの手に取り戻します。いやいや、たいした手腕です。再婚相手の夫が「雌ドラゴン」といったのもあながち大げさではなかったかも？　なんて。ちなみに、それらの実験装置、例えば天秤にしても現在の価格で一台数千万円になるとか。それらが「近代化学」を作り上げたのですが、徴税請負人としての収入、つまり当時の国民の血税から生まれたと思うとフクザツな気分になってしまいます。

<h4>鉄の女</h4>
　こうして再び彼女は名誉と財産を取り戻し、サロンを開いて現役の社交夫人として復活するのでした。そして彼女は夫、ラヴォアジエが獄中でも校正を続けた絶筆『化学論集』を出版するということもしています。<br /><br />
　そして先に書いた科学者、ラムフォード伯爵と再婚することになるのですが、マリー・アンヌは結婚契約書に「ラヴォアジエ・ド・ラムフォード夫人」と名乗ると断固として明記したのです。ラムフォード伯爵はしぶしぶ了承したようですが……。前夫の姓を入れる、なんて非常識な話。ラムフォード伯爵だって相当面白くなかったに違いません。それも結婚生活が上手くいかなかった一因かも……。<br /><br />

　ラムフォード伯爵だって、前夫ラヴォアジエが偉大な科学者だった、ってことはわかっているわけだし、相当プライドを傷つけられたでしょう。でも一方で、マリー・アンヌにとってラヴォアジエとの絆がどれだけ強かったか、ということもよくわかるエピソードです。再婚は失敗だったけど、それだけの夫・ラヴォアジエと二人三脚で化学ができたマリー・アンヌを羨ましく思う私なのでした。<br /><br />

<p class="ref">【参考文献】
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4759807764/kasoken-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">化学物語25講―生きるために大切な化学の知識</a><br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4130603035/kasoken-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">エミリー・デュ・シャトレとマリー・ラヴワジエ―18世紀フランスのジェンダーと科学</a></p>
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            <link>http://www.kasoken.com/04topics/lavoisier_03.php</link>
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            <pubDate>Mon, 11 Aug 2008 22:50:34 +0900</pubDate>
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