Home > 台所部門 > 小麦粉の科学-グルテン-

内田麻理香プロフィール || 出版物・連載・依頼原稿 | テレビ・ラジオ出演 | 講演・講師 | 賞歴・メディア掲載歴

小麦粉の科学-グルテン-

 日頃、ご飯にお世話になっている私たちですが、最近の日本人の食生活では、小麦粉の貢献度も無視できません。パン・パスタ・うどん・ラーメン、などなど。それでは、今回はこの小麦粉の「小麦粉らしさ」を支配している成分、グルテンについてご説明します。

グルテンって?

主食となる食物は、主成分が「デンプン」であることは001* ご飯の科学-デンプン-でお話しました。もちろん、小麦粉の主成分もデンプンであり、炭水化物が主体の食物です。でも、小麦粉が他の主食と違った面白さを生むのは、その中に「タンパク質」が一定量含まれているからなのです。そのタンパク質が「グルテン」です。ちなみに、今さら説明の必要もないと思いますが、タンパク質というのは肉や魚に代表される「体を作るもと」となる栄養素です。グルテンによって、出来上がりの料理はコシや粘りのあるものになるのです。

小麦粉に種類があるけど?

そして、小麦粉には3種類あることは御存じだと思います。強力粉・中力粉・薄力粉、です。この3種類は、小麦粉に含まれるグルテンの量で区別されています。グルテンの量が多い順に、強力粉→中力粉→薄力粉、となります。ところで、グルテンというのはある料理にとっては欠かせないものでもあるし、またある時は料理の美味しさを邪魔するものでもあります。ですから、用途によってどの種類のものを使うか決まってくるのです。

グルテンを作るには?

グルテンは、粉の中にそのまま入っているというわけではありません。ある操作をしなければグルテンは生まれてこないのです。それでは、グルテンができるための条件は、次の二つです。
(1)水を加える。
(2)よくこねる。
基本的にはこれだけ、です。しかしながら、ここにいろいろな調味料などが作用してグルテンの形成を増したり、妨げたりするのです。ここが料理が科学たるゆえんであって、面白いところ。では、そのグルテンの活かし方、殺し方、両方をお勉強してみましょう。

グルテンを活かす

グルテンを活かしたものの代表例はパン・うどんなどです。パンのもちもちとした食感やうどんのコシは、グルテンのおかげです。パン生地を一生懸命手でこねたり、うどん生地を足で踏むのは、上述の「(2)よくこねる」を実践しているからなのです。それでは、そのグルテンを活かすための脇役は何でしょうか?
〈食塩〉
食塩は、グルテンの「粘り」を増すのに役立ちます。ですから、パンやうどんの中には食塩が含まれるのです。
〈かん水〉
かん水というのは、炭酸ナトリウムなどを溶かした液体でアルカリ性を示します。アルカリ性のものを加えると、グルテンの「延び」が良くなります。ですから、中華麺にかん水が使われているのです。

グルテンを殺す

グルテンが出しゃばって欲しくない場面は、天ぷら、お菓子などです。だからといって、天ぷらやお菓子を作るのにグルテンが邪魔ばかりしているというわけではありません。「ふわっ」とした感触は、グルテンのお陰なのです。でも、一方で天ぷらを作るときに「さくっ」としたものにならないのはグルテンの仕業です。当然のことながら、「(2)よくこねる」を実践しないようにするのは必須です。さっと混ぜる、切るように混ぜる。それでは、グルテンが料理に悪さをさせないためのその他の要素を挙げていきます。
〈低温〉
グルテンは温度が高くなればなるほど多く生成してしまいます。天ぷらの衣を作るときには、冷水を使うというのはそういう理由です。小麦粉を使うまで冷やしておくというのも良い手です。漫画の「美味しんぼ」では、冷凍庫に入れていました。
〈短時間〉
時間が経つほどグルテン量は増えてしまいます。5分経つとグルテン量は1.5倍だとか。ですから、天ぷらの衣は作ったらすぐに揚げろ、ということです。さらに、たくさんの量を作るときは何回かに分けて作りましょう、とのこと。とは言っても面倒ですよねー。

〈砂糖〉
ケーキに砂糖を入れるのは、甘くするため理由だけではないのです。実は、砂糖というのは水を抱え込む性質が高いのです。ですから、砂糖はグルテンの分の水分を横取りするので、上述のグルテンができるための条件である「(1)水を加える」というのを邪魔することになります。余談になりますが、砂糖は他にもケーキの乾燥を防いだりデンプンの老化を妨げる働きがあるので、カロリーを気にしてむやみに砂糖を減らすとキケンです。
〈油脂〉
バターや油のことです。「生活部門」「シミ抜きの応急処置-極性-」でご説明した通り、油と水は相性が悪いのです。ですから、油脂を加えると、グルテンと水の間に割り込むことになります。そして、グルテンと水がくっつくのを妨げてグルテンが生成しないようにします。ですから、油分の多いクッキーほど「さくさく」した食感になるのです。あと、シュークリームの皮を作るとき、小麦粉よりも先に溶かしバターを入れます。先に入れるのは、グルテンが生成しない前にバターで予防しておくからです。この順番を間違えると、失敗してしまいます。
〈アルコール〉
これも、グルテンの生成を妨げてくれます。フリッターという揚げ物にはビールを入れますよね。ウラワザ的ですが、天ぷらの衣にビールを入れるのも美味しく仕上がるそうです。

美味しいパンを焼いたり、天ぷらを上手に揚げられたり、ふわふわのスポンジケーキを焼けるようになるのって「お料理上手!」の試金石、って感じですよね。グルテンを自由自在にマスターしたいと考える研究員Aなのでした。それにはまず、実践せねば。パンなんて自分一人で作ったことないよー。天ぷらも作った記憶がないぞ。

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.kasoken.com/mt/mt-tb.cgi/9
Listed below are links to weblogs that reference
003小麦粉の科学-グルテン- from 内田麻理香:カソウケン(家庭科学総合研究所)

Home > 台所部門 > 小麦粉の科学-グルテン-

Search
Feeds

Return to page top