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宝石の科学-結晶-

 たかが石とはいえ、その美しさに惑わされた人たちによる禍々しいエピソードも多く残されている宝石。でも、宝石って好きな人と興味を示さない方と両極端ですよね。ちなみに研究員Aは俗っぽいせいか好きです。特にダイヤモンドの輝きにはクラクラきてしまいます。今回は、その宝石の美しさを科学的に探ると同時に、「結晶」についてお勉強してみましょう。

結晶

 固体の物質のうち、多くの物質は一つ一つの原子(など)が規則正しく並んでいます。このようなものを結晶と呼びます。世の中にある多くのものは結晶です。キレイに分子や原子が並んでいるのです。例えば、金属もそう。食塩もそうですし、今日のテーマである宝石のうち殆どは結晶です。

 食塩も宝石も同じ結晶です。では、なぜ宝石は貴重で美しく見えるのでしょうか?結晶にはひとかたまりが多くの結晶粒から成る多結晶体と、ひと塊全部が一つの結晶である単結晶があります。多結晶体では、粒と粒の間にある不純物などによって光が散乱します。光が散乱するということは、私たちの目には不透明に見えることになってしまうのです。

 一方、単結晶である宝石はどうでしょうか?こちらはただ一つの結晶から成るので、光が散乱を起こすことなくまっすぐ進んで透明に見えます。この単結晶を得ることは非常に難しいのです。宝石が価値ある理由の一つといえるでしょう。

  ちなみに、身近な塩や砂糖だって、上手に単結晶を作るとこんなにキレイなんです。こちらのサイトをご覧下さい。硫酸銅の単結晶なんてまさに宝石にしたい美しさですよね。ただ、これらの単結晶は安定ではないことが残念!

宝石の王様・ダイヤモンド

 宝石の王様と言えばダイヤモンドでしょう。なぜダイヤモンドはこんなに美しく、人々に重宝がられるのでしょうか?これは、ダイヤモンドの「硬さ」と「光を操る性質」の二つが大きな理由です。

ダイヤモンドの硬度

 ダイヤモンドに傷をつけることができる唯一の物質はダイヤモンドです。その無比の硬度を誇るダイヤモンド、その硬さは結晶の構造によるものです。

 食塩や金属も同じく結晶ですが、ダイヤモンドとは一つ一つの原子(分子)の結合の仕方が違います。ダイヤモンドの結合は「共有結合」といって、他の結合の仕方よりも強い結合なのです。ちなみに、ダイヤモンドの成分は炭素ですから、いくら硬いとはいえ簡単に燃えてしまいます。

 また、同じ炭素原子の共有結合でも、結合の配列の違いで別物になります。配列が違うと、「黒鉛」です。これは、鉛筆の芯に使われるものです。  ダイヤモンドのこの比類ない硬さのおかげで、何よりも滑らかな表面を作ることを可能にし鏡のような表面反射をつくり出すことができるのです。

ダイヤモンドの光を操る性質

 ダイヤモンドは光を操る性質も特別です。それは、「屈折率」と「分散率」が高いことによるものです。

・高い屈折率

 光は材質の違うものが接した境界でその進路を曲げます。これを「屈折」と言います。水の中でモノの入っている位置が見当がつかなくなるのも「屈折」のせいです。ダイヤモンドは、この屈折する度合いが大きいのです。

 屈折する度合いが大きいことはその美しさとどう関係があるのでしょうか?屈折率の高いダイヤモンドは、より広い角度の光を内部に取り込み内部で反射して、より多くの光を再び外に放つことがるのです。これが、ダイヤモンドの輝きになります。

・高い分散率
「分散率」とは聞き慣れない言葉だと思います。でも、三角形のガラスのプリズムを通した光が、七色の虹の色に分かれるのを御覧になったことはありませんか。あれが、「分散」という現象なのです。

 分散とは、光の色によって屈折率が違うことから起こる現象です。光の色によって、物質の境界面で光の曲がる方向が異なるのです。だから、ただの白い光がプリズムなどを通すことによって、七色の虹になるのです。そして、この現象から、実は白い光がたくさんの色の光が混ざってできていることもわかるのです。

 ダイヤモンドが分散率が高いということは、この光を七色に分ける性質があるということなのです。だから、あんなにキラキラ輝いて見えるのです。

  そして、ダイヤモンドのこの光を操る性質を最大限に生かすために、昔から様々なカットが考案されてきたのです。カットを施さないダイヤモンドは、単なる石にしか見えませんから。

ルビーとサファイア

 強い生命力を思わせる真紅のルビーと、深い神秘性をたたえた濃青色のサファイアは、対照的な雰囲気をもつ宝石ですが、実は主成分は全く同じものなのです。主成分はどちらも同じ酸化アルミニウム(Al2O3)。

 そして、ルビーとサファイアにとって大事なのは、「不純物」です。不純物が含まれていなければ、無色透明になってしまいます。不純物のおかげであの深い発色が得られるのです。ルビーの不純物は「酸化クロム」によるものです。一方、サファイアの不純物は酸化鉄と酸化チタン。このちょっとした不純物の違いであの対照的な雰囲気が生まれるのです。

サビたアルミニウム?

 さて、主成分である酸化アルミニウム。これは、酸化をここで「サビる」と表現するならば(注)、ルビーとサファイアは主にアルミニウムがサビたものからできていると言うことができます。ということは、アルミホイルもそのうちルビーやサファイアに?ってこれは言い過ぎですが。既にサビて(酸化して)しまったものだから、ルビーやサファイアはこれ以上変質することがなく安定なのです。
 実は炭素であるダイヤモンド、実は酸化したアルミニウムであるルビーとサファイア。宝石の女王と呼ばれる真珠だって、実は卵の殻と同じ成分です。まあ、でもいくらそんなことが解ったとしても、キレイなものはキレイですものね。その成分を云々するのは不粋なことかもしれません。

(注)物質が酸素と結びつくことを酸化といいます。サビるという現象の他にも、食品が発酵すること、食品が腐ること、鉄のフライパンを焼いて皮膜を作ることも全て酸化という現象です。

参考文献 ファインマン物理学(2) R.P.ファインマン著
化学精義(上巻) 竹林保次著
参考サイト 福本修の宝石鉱物小事典
斎藤の部屋(理科)

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