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エントロピー増大の法則

 研究員Aの天敵はお掃除。掃除が終わった瞬間は、目に見える達成感で実に気分が良いのものです。でも、研究員Bの散らかすおもちゃ、食べこぼし、どこからともなくやってくるホコリ、などなどであっという間に元通り。虚しい作業という気がしてなりません。でも、なぜ片付けても片付けても家はあんなに散らかるのでしょうか?その答えになる「かもしれない」物理学の法則、「エントロピー増大の法則」というものがあります。

エントロピー?

「エントロピー増大の法則」とは、物理学の基本をなす重要な法則の一つです。またの名を「熱力学第2法則」ともいいますが、次のように表現されます。

**エントロピー増大の法則**

系の全エントロピーはいずれの場合にも減少することはない。

まあ、何を言いたいんだかさっぱりわからないですよね。研究員Aもすっかり忘れています。まず、エントロピーって何さ?ってことですが、状態の「乱雑さ」を表しているものです。ちょっと大胆に翻訳してみましょう。そうすると、上に書いた法則は、
**エントロピー増大の法則(翻訳版)**
宇宙の乱雑さは絶えず増大している。

まだわかりにくいですね。要するに、エントロピー増大の法則は、「散らかる」→「片づく」という変化がひとりでに起こることは、絶対にあり得ない!ということを言っているわけです。
「なに当たり前のこと言ってるの。そんな法則、私だって知ってるわ」とお思いでしょう。でも、こんな当たり前のことが、数式をがちゃがちゃ変形して導き出されて、シンプルな数式で表現されているところが物理学の面白いところですよね。

身近にはどんな例が?

この法則、日常にもたくさん見かけることができるポピュラーな法則なんです。他の例を考えてみましょう。コーヒーに角砂糖を入れることを考えてみて下さい。
・コーヒー&角砂糖→甘いコーヒー
という変化は自然に起こりますが、
・甘いコーヒー→ コーヒー&角砂糖
という変化は決して起こりません。これは、コーヒー&角砂糖のエントロピーが甘いコーヒーのそれよりも小さいからなのです。
あと、熱いモノと冷たいモノをくっつけておくと、しばらくすると両方とも同じくらいの温度になりますよね。逆は絶対にあり得ません。水を放っておいたら、氷と熱湯に分かれるなんて話はありません。これも、熱いモノ・冷たいモノと分かれている状態の方が物理学的に「秩序がある」状態だからなのです。

部屋が片づかないのは当然

ですから、部屋がどんどん汚くなるのも、当たり前の話なんです。それが「宇宙の理(ことわり)」なのですから。カオスになった部屋を見つめて、ため息つく必要はありません。家人に掃除の不徹底を指摘されたら、この法則を持ち出して煙に巻いてしまいましょう。って、研究員Aの場合は少しはちゃんと掃除すべきですが。

参考 物理化学(上) P.W.アトキンス著
ファインマン物理学(2) R.P.ファインマン他著

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