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量子力学?

 片づけの苦手な研究員Aはパソコンの中もぐちゃぐちゃ。研究員Aのデスクトップを見た所長は、「こんな汚いの見たことがない」とまで言います。一念発起してパソコンも片付けていたら、大学卒業時にサークルの文集(みたいなもの)に寄稿したモノが出てきました。懐かしいので、ちょっと加筆訂正して取り上げてみます。青臭〜い内容ですが、22歳のときに書いたもの、ということでご容赦下さいませ。「電子の居場所は?」というお話です。

基礎知識としての量子力学

電子の話をするために、ちょっとだけ「量子力学」について触れておきます。「量子力学」は、原子とか電子とかのミクロな世界を説明するために成立した物理学です。半導体技術を初め、現代を支える科学技術は量子力学のおかげ、というくらい私たちには有り難い学問です。でも、この理論、普段の生活からしてみると「非常識」のオンパレード。

アインシュタインの敗北

その「非常識」のひとつを取り上げてみましょう。ミクロの世界での物理現象は、「偶然」と「不確かさ」に支配されているというのです。私たちは、物理って理論に基づいた計算で、「何がどうなるか?」を「びしっ」と教えてくれるんじゃないの?と思っていますよね。それが、量子力学によるとミクロの世界では「不可能だ」というのです。
この考え方は、かのアインシュタインにも受け入れがたいものでした。「神はサイコロを振らない」と言って、物理の世界が確率や偶然で決まるわけがないと主張したのです。量子力学の巨匠、ボーアと有名な論争をしたというエピソードが残されています。結局、この論争はアインシュタインの負け。でも、アインシュタインは終生この考えを受け入れなかったと言います。

高校で教わったことは間違い?

というわけで、我々とっても受け入れがたい考え方ですが、とりあえず話を先に進めるためにも受け入れて下さい。原子は、原子核の周りにい電子がぐるぐる回っていると高校では教わります。でも、実際はそれは誤りなのです。電子の居場所を「ここにいる!」と定めることができないのです。「この辺にいる確率が○%、この辺にいる確率が△%」としかわからないのです。
じゃ、なんでそんな間違いを学校で教えるのか?という疑問が生じますよね。でも、例の土星のような原子のイメージは、原子の性質を説明するのにちょうど良いからです。そして、量子力学は高校レベルの物理では不要だからなのです。

たった一つの束縛が?

さて、普通の金属の場合などの電子の居場所を量子力学で計算してみましょう。先ほども書いた通り、「ここ」と答えを出すことはできませんが、「この辺り」と言うことはできます。金属の場合は、電子は原子に束縛されている状態です。計算すると、数オングストロームの領域にいる、という答えが出ます。オングストロームというのは1000万分の1センチ。本当に狭い領域です。
そして、何の束縛のない電子(自由電子といいます)の場合はどうなるでしょう?なんと、全宇宙空間という答えになるんです。1000万分の1センチとは相当の差ですよね。でも、この差を作っているのは、たった一つの束縛だけなのです。すごいですよね。だって、たった一つの束縛があるかないかでこんなにも存在できる領域が変わってしまうなんて。

いろいろな「物差し」が「束縛」に

で、そんな事実を知って思ったこと。人間って知らないうちに、いろいろな「物差し」で物事をはかっていたりします。たとえば、「損得」。あと、「社会的地位」だとか「他人の評判」とかも物差しになり得ます。そういった物差しは生きていく上で便利なときもあるのですが、それが束縛の原因になったりもする。「損得勘定」してみてつまらないこと考えたりする。物差しに自分を当てはめてみて上だ、下だと思うからコンプレックスにもなったりもする。だから、電子だって束縛されてないとあんなに存在領域が広がるんだから、人間だって同じだろうなあって思うのです。 例えば、「子育て」。「子育ては損か?」という記事がAERAという雑誌に取り上げられて、話題になったことがあります(詳細はこちらのサイトで)。確かに、子育て中って、自分の自由時間はなくなるし、お金はかかるし。実際AERAに寄せられた意見では「損」と答える人が45%を占めていたということ。でもその「損」と答えた人のうち、「子供を産まない方が良かった」と答える人は皆無。子育てって損得じゃはかりしれないモノがたくさんあるってことは子持ちの人ならばわかっていることですよね。でも、この辺って子供のいない人には伝わりにくいのも事実。

あと、逆に、一見恵まれた「条件」を持っているような人でもそれが束縛になり得ます。例えば、「いい学校出たのだからそれなりに偉くならないと」と考えて人生の選択をする人は、可能性を狭めてしまっている。また、自分は「条件」が良いと自信を持っている女性が、結婚相手に様々な条件を要求して探し続けるとか。

必要なエネルギーは大きいけど

とにかく物差しから自由になると可能性がものすごく広がるのでは?と思うのです。
実は、自由電子っていうのは束縛された電子よりも必要なエネルギーは大きい。だから、束縛されているときよりも多くのエネルギーは必要になるかもしれません。でも、「今、私はヘンな物差しに頼っていないか?」ということを自問自答しながら生きていきたいなーと思っています。

本来は科学的事実から一般的な意味を引き出そうなんてナンセンスなんですけどね。でも、「科学を生活に役立てる」カソウケン的にはセーフということでご容赦下さい。そもそも役に立たない?とほほ。

参考サイト:アインシュタインの科学と生涯
AERA読者インターネットアンケート
「子育ては損か?」連載記事

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