私たちの生活になくてはならない水。人体の6割は水分ですし、植物・動物にとってはなくてはならない存在です。普段はちっともそんなこと意識していませんが、水不足になると世の中がパニックになったりして、その大切さに気が付きます。実は、この水、物質の中では「異常」な存在なのです。でも、その異常さが我々生物にとっては大事なのです。では、今回は身近な存在である水の「異常さ」を通して、周期律表や水素結合についてお勉強してみましょう。では、一回目の今回は「周期律表」の話です。
この周期律表、縦に並んだ元素はとても良く似た性質を示します。例えば、「何と反応する?」とか。さらに、同じ縦の並びでも、お隣さんは良く似ています。例えば、何℃で沸騰するか?というのでも、その温度は上から順番にきれいに並ぶのです(基本的には)。
無味乾燥に見える周期律表でも、じーっと眺めていると面白いものが結構見つかります。例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)と縦に1列に並んでる!とか(中央下の赤枠参照)。へー、ナトリウム(Na)とカリウム(K)って隣同士なんだねえ(左側の赤枠参照)、とか。え、あまり面白くない?
皆さんご存じのとおり、水の化学式はH2O。水素(H)がふたつに酸素(O)がひとつだけ、くっついた構造をしています。また周期律表を見ると、酸素(O)の下にある物質は硫黄(S)です(右上の赤枠参照)。ですから、化学の法則でいうならば、H2S、つまり硫化水素も水と良く似た性質になるはずなのです。ちなみに、硫化水素というのは意外と身近に存在する物質です。多量に吸い込むと人体には有毒ですが。卵が腐ったような臭いと表現されます。いわゆる「温泉のにおい」を構成しているのは硫化水素です。あと、もちろん卵にも含まれています。さらに、オナラの臭さも硫化水素のせいです。
周期律表の原則からいくと、似ているはずの水と硫化水素。でも、ちっとも似ていないですよね。まず明らかなのがその「臭い」。無臭の水に対して、卵の腐った臭いの硫化水素。そして、水は常温(室温)では液体ですが、硫化水素は気体です。
もう少し、この二つの物質の性質を比べてみましょう。
周期律表のすごいところは、物質の沸点や凝固点(凍るときの温度)を割り出せることです。つまり、ご近所の沸点がわかれば、実際にその物質の沸点を測定しなくても予想ができてしまうのです。硫化水素は、実際にその規則通り、マイナス何十℃の世界で沸騰したり、凍結したりします。水は、規則通りなら、本当はマイナス80℃で沸騰し、マイナス100℃で凍り、たった20℃の幅でしか液体であり得ないはずです。
しかし、水は一般的な化学の法則から外れて、常温(室温)にまたがる100℃という幅広い温度帯で液体を保ちます。「常温にまたがる幅広い温度帯で液体を保つ」という便利さはちょっとイメージしにくいかもしれません。ちょっと、バターを例にとって考えてみましょう。
バターは冷蔵庫の中では固体ですが、30℃台後半になるとすぐに溶け出してしまいます。バターを手で扱って作るパイが作りにくいと言われるのはこの理由です。もし、バターが70℃くらいまで固体の状態を保ってくれるものであれば、パイやタルトはもっともっと作りやすくなるはずです。つまり、「常温にまたがる幅広い温度帯で液体を保つ」水は、その異常さのおかげで、なにかと扱いやすい物質となっているわけです。
次回は、この水の異常さがどれだけ生物に役に立っているか知るために、「水素結合」についてお話しする予定です。
メンデレーエフの周期律表
皆さん、周期律表 (クリックすると別ウィンドウで周期律表が開きます)というのは覚えていらっしゃいますか?化学の教科書の見開きに書いてあるアレです。化学を選択した方ならば、「すい・へー・りー・べー・ぼくのふね」という呪文で覚えさせられた(イヤな?)記憶が蘇るのではないでしょうか。この周期律表を見つけたのはロシアの化学者メンデレーエフ。彼の独創的かつ大胆な発見が化学の世界に秩序を与えたのです。この発見にまつわる話は面白いので、ちょとご紹介してみましょう。元素の発見を「予言」
メンデレーエフは無機化学の教授でした。その彼が1867年、化学の教科書の執筆中に起きたできごとです。カードに元素の名前を一つずつ書いて並べて考えているうちに、「元素をその原子量の大きさの順序に並べると、その性質が周期的に変わる」ことに気がついたのです。原子量というのは、とりあえず元素の重さを表すものだと解釈してOKです。でも、当時はまだ発見されていない元素がたくさんあります。そこで、彼は大胆にも「今後こういう元素が発見されるはず」と何箇所か空白の欄を作ったのです。これがメンデレーエフのすごいところ。つまり、「原子量がこれこれで、こんな性質の元素があるはず」と予言してしまったのですね。元素を予言してしまうなんて格好良すぎ!以後彼の予言通り新しい元素が次々と発見されるわけです。メンデレーエフは草葉の陰でほくそ笑んでいたに違いありません。そして、彼の功績を讃え、101番めに発見された元素には「メンデレビウム(Md)」という名が付けらています。この周期律表、縦に並んだ元素はとても良く似た性質を示します。例えば、「何と反応する?」とか。さらに、同じ縦の並びでも、お隣さんは良く似ています。例えば、何℃で沸騰するか?というのでも、その温度は上から順番にきれいに並ぶのです(基本的には)。
無味乾燥に見える周期律表でも、じーっと眺めていると面白いものが結構見つかります。例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)と縦に1列に並んでる!とか(中央下の赤枠参照)。へー、ナトリウム(Na)とカリウム(K)って隣同士なんだねえ(左側の赤枠参照)、とか。え、あまり面白くない?
そっくりなはずの「水」と「硫化水素」
水の話の導入なのに、周期律表の話が長くなってしまいました。化学が好きだった者の例に漏れず、周期律表を愛していた研究員A。ついつい筆が走ってしまいます。さて、本題の「水」に入りましょう。皆さんご存じのとおり、水の化学式はH2O。水素(H)がふたつに酸素(O)がひとつだけ、くっついた構造をしています。また周期律表を見ると、酸素(O)の下にある物質は硫黄(S)です(右上の赤枠参照)。ですから、化学の法則でいうならば、H2S、つまり硫化水素も水と良く似た性質になるはずなのです。ちなみに、硫化水素というのは意外と身近に存在する物質です。多量に吸い込むと人体には有毒ですが。卵が腐ったような臭いと表現されます。いわゆる「温泉のにおい」を構成しているのは硫化水素です。あと、もちろん卵にも含まれています。さらに、オナラの臭さも硫化水素のせいです。
周期律表の原則からいくと、似ているはずの水と硫化水素。でも、ちっとも似ていないですよね。まず明らかなのがその「臭い」。無臭の水に対して、卵の腐った臭いの硫化水素。そして、水は常温(室温)では液体ですが、硫化水素は気体です。
もう少し、この二つの物質の性質を比べてみましょう。
100℃で沸騰、0℃で凍る不思議
水は、100℃で沸騰し、0℃で凍ります。こんなこと小学生でも知っています。でも、実はこれが水のとんでもない異常さの一つなのです。周期律表のすごいところは、物質の沸点や凝固点(凍るときの温度)を割り出せることです。つまり、ご近所の沸点がわかれば、実際にその物質の沸点を測定しなくても予想ができてしまうのです。硫化水素は、実際にその規則通り、マイナス何十℃の世界で沸騰したり、凍結したりします。水は、規則通りなら、本当はマイナス80℃で沸騰し、マイナス100℃で凍り、たった20℃の幅でしか液体であり得ないはずです。
しかし、水は一般的な化学の法則から外れて、常温(室温)にまたがる100℃という幅広い温度帯で液体を保ちます。「常温にまたがる幅広い温度帯で液体を保つ」という便利さはちょっとイメージしにくいかもしれません。ちょっと、バターを例にとって考えてみましょう。
バターは冷蔵庫の中では固体ですが、30℃台後半になるとすぐに溶け出してしまいます。バターを手で扱って作るパイが作りにくいと言われるのはこの理由です。もし、バターが70℃くらいまで固体の状態を保ってくれるものであれば、パイやタルトはもっともっと作りやすくなるはずです。つまり、「常温にまたがる幅広い温度帯で液体を保つ」水は、その異常さのおかげで、なにかと扱いやすい物質となっているわけです。
もし「水」じゃなかったら?
地球上にこの「異常な物質」である水が大量に存在したからこそ、この生き物が栄える惑星になったと言えます。私たちの祖先である「最初の生き物」も水から誕生しました。もし、これが水ではなく硫化水素だったらどうだったのでしょうか。ひょっとしたら硫化水素を主成分とした生物が誕生したかも(ないとは思いますが)??そんなことをテキトーに考えてみるのもちょっとしたSFで楽しいですよね。そんな生物にとっては水が臭くてたまらないのかもしれません。でも、この広い宇宙のどこかには、水ではない物質を主成分とした生命体が存在するかもしれません。次回は、この水の異常さがどれだけ生物に役に立っているか知るために、「水素結合」についてお話しする予定です。
参考サイト 岡崎国立共同研究機構 計算科学研究センター
参考文献 お菓子こつの科学 河田昌子著