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内田麻理香プロフィール
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砂糖の科学-ショ糖-

 「甘いものは別腹」という実に非科学的な言葉があります。内田も「別腹」系の人間です。ケーキを一つでも食べると「幸せ〜」な気分になることができます。安いものです。「ケーキバイキングが好き」と言うと、甘党でない人には顔をしかめられてしまいますが。そして、赤ちゃんが初めに最も好む味が「甘味」。母乳もミルクも甘いですものね。このことを知って、「人間って元々は甘いものが好きなのか」と自分の甘い物好きを正当化してしまう研究員Aなのでした。
では、今回は料理の甘味をコントロールする物質、「砂糖」についてお勉強してみましょう。

一口に砂糖といっても

皆さんのお宅では、料理に使う砂糖は何をお使いでしょうか?我が家はお菓子作りにも使えるという守備範囲の広さから、普通の上白糖を使っています。研究員Aの実家はずっと三温糖を使っていました。お菓子のレシピではグラニュー糖を指定する場合もありますよね。一口に砂糖といっても色々ありますが、どのような成分の違いがあるのでしょうか。

成分の違い

グラニュー糖、上白糖、三温糖はそれぞれ原料も製法も同じ砂糖です。異なるのは精製度の違いです。糖液を結晶させるとき、最初に結晶させたものがグラニュー糖、次が上白糖、次が三温糖になるのです。

そして、さらにグラニュー糖と上白糖の違いを説明する前に、砂糖の成分についてお話しします。砂糖の主成分は「ショ糖」と呼ばれるものです。これは、ブドウ糖と果糖が一つずつ結合した構造です。つまり、(ブドウ糖)+(果糖)=(ショ糖)になるわけです。上で言った「精製度」が高い、というのはショ糖の成分が多いことを指します。

そして、上白糖は糖液を結晶させたあとに、わざわざ「転化糖」というものを添加しています。この操作がグラニュー糖と上白糖の一番の違いを生み出すもとなのです。ちなみに、転化糖はブドウ糖と果糖がばらばらになった構造をしています。転化糖はショ糖に比べて濃厚な甘味を持ちます。だから、グラニュー糖のさっぱりした味に比べ、上白糖は甘味が強く感じられるようになるのです。
このショ糖転化糖は次の「焦げ」を説明するのに必要になるので、少し心に留めておいて下さい。

キツネ色の「焦げ」

ケーキやクッキーが焼き上がったときにできるこんがりとしたキツネ色。あれがまた食欲をそそるんですよね。あの作用も砂糖の成分のおかげなのです。焦げ色がつくのは、糖が小麦粉、牛乳、卵などに含まれるアミノ酸と反応してできる物質のためで、この反応をメイラード反応といいます。このメイラード反応、とても複雑なのでそのメカニズムはまだ解明されていないとのこと。身近なことでもまだわかっていないことって多いですね。
そして、このメイラード反応が起きやすいのはショ糖ではなく、転化糖の方なのです。転化糖の方が焦げやすい性質を持っています。ですから、スポンジケーキを作るときに焼き色をあまりつけたくない場合は、グラニュー糖を使うといいのです。確かに、グラニュー糖を使うと上品な感じに仕上がります。

カラメルの「焦げ」

砂糖による「焦げ」と聞いてもうひとつ思い出すのがカラメルですよね。でも、このカラメルのできるメカニズムはクッキーの焼き色とは全く別物なのです。砂糖に熱を加え続けて160℃を超えて、ショ糖が激しく分解したり不規則に結合したりしてできるのが「カラメル」と呼ばれる褐色物質です。焼き色の反応は転化糖が支配していますが、カラメルの反応は、ショ糖が支配しているのです。

つい最近までこの機構が別物とは知らなかった研究員A。「焦げやすいのは上白糖の方だから、カラメル作るのも上白糖の方がいいだろう」と思っていました。何度かチャレンジしてみましたが、カラメルに関してはグラニュー糖の方が作りやすいようです。もちろん、上白糖でも大丈夫ですが。それにしても、何度やっても満足にカラメルが作れないんですよね。カラメル作りは研究員Aにとって鬼門のようです。でも、カラメル化するときの砂糖の様子はまさに「化学反応!」って感じで、見ていて楽しいです。

水を引き付ける

砂糖を語る際に忘れてはならない性質が「保水性」です。砂糖は、水を強く引き付ける性質があるのです。砂糖をたくさん加えたジャムなどが腐りにくいのもこの保水性のおかげ。一般に食品が腐るのは、食品の中で腐敗菌が増殖するためです。その腐敗菌は食品の中を自由に動き回る水分(自由水)を利用します。一方、砂糖が加えられた食品は、砂糖が水分を引き付けて保水しているので、「自由水」が少ないのです。だから、腐敗菌が使える水分が少ないので、腐りにくいというわけです。

他にも、この保水性はお菓子作りに重要な役割を果たしています。砂糖が水を引き付ける性質は、お菓子の乾燥を防いでしっとり仕上げたり、ゼリーの離水を防いで品質を高めてくれます。また、メレンゲを作るとき、砂糖が卵白のタンパク質の水分を分離して取ってしまうので、できたメレンゲの泡の安定性を高めてくれます。

ただ甘くするだけじゃない

このように見ると、お菓子作りに使う砂糖は、単なる「甘味付け」の役割ではないことがわかります。ですから、お菓子のレシピで極端な砂糖の減量はキケンです。これは、バターも同じです(かちかちのクッキーになったりします)。でも、実際に分量を量っているときに、あまりに大量に砂糖やバターを使うからぎょっとするんですよね。これは、目的によるかも。現在のところは、研究員Aがお菓子を作るのは所長に「ほら!市販のものと遜色ないでしょ?」と言ってもらいたいがため(強制的に?)というのもあるので、分量通りに作っています。でも、研究員Bがまともにおやつとして食べるような年頃になったら、健康面を重視してレシピを変更するような気がします。

糖分は脳の唯一のエネルギー源でもあるので人体に必須の成分です。でも、とり過ぎは生活習慣病を引き起こすことに。上手に砂糖とつきあっていきたいものです。でもねー、やっぱりあの甘美な誘惑って。。。

参考 お菓子こつの科学 河田昌子著
農畜産業振興事業団 砂糖類ホームページ

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