浸透の現象って?
一つの水溶液のなかで場所によって温度に差があると、溶液内に全体を均一な濃度にしようとする変化が起こります。濃度の大きい部分から、溶けているものが濃度の小さい部分に移動するのです。水の中に砂糖のかたまりを入れると溶けるのもこの理由です。
野菜や肉、魚などの生きた細胞をおおう薄い特殊な膜は「半透膜」といいます。その半透膜が間にあった場合はどうなるでしょうか。半透膜は、膜の内側と外側に濃度の異なる二種の液体が会った場合、両方の液体が同じ濃度になるように調整します。
塩もみ・漬け物
そういうわけで、キュウリや大根に塩をふると、キュウリの表面と内側の濃度を同じにしようとして、キュウリの水分が外に出ることになります。それで、水分が出てしんなりするのです。漬け物をするとびっくりするほどの水分が出てきますよね。これも同じ原理です。
炒め物をするとき、味付けを最後にするのもこの理由です。先に塩などで味付けしてしまうと、浸透の効果で野菜の水分が外に出てしまいます。そうすると、水っぽい美味しくない炒め物になってしまうからです。
逆に、サラダなどに使う野菜を水にさらしておきますよね。あれは、水分を野菜の中に入れて、「ぱり」っとさせるためなんです。
脱線〜ナメクジに塩〜
余談ですが、ナメクジに塩をかけると「溶ける」のも同じことです。ナメクジの体内にある水分が塩を溶かそうと体外に出るのです。さらに余談になりますが、研究員Aは幼少時代、常々これをやりたいと目論んでいて、ナメクジをさがしていました。ある日、とうとう見つけたのですが、家の中に塩を取りに行っているヒマがなかったもので慌ててかけたのは砂。それは違うだろ。ナメクジも砂なんかかけられてびっくりしたでしょう。
料理のコツ〜しわのある煮豆にしないために〜
閑話休題。 豆を煮るときに、「砂糖を少しずつ加える」とありますよね。一気に砂糖を加えると、濃度の差が大きくて、豆の中の水分が浸透して失われてしわができてしまうからです。 こうしてみると、浸透の現象一つとっても料理とずいぶん関係が深いことがわかりますね。 最近、カキ鍋をしたときのこと。カキの汚れを落とすために塩で洗ったのですが、塩を洗い流すのが不十分で、塩辛いカキ鍋になってしまいました。カキを入れれば入れるほど、ますます味の濃くなるカキ鍋。とほほ。そのカキ、水の中につけておけば「浸透」で塩を抜くことができたんですよね。残念。