周期表は好き嫌いが分かれる「理系モノ」かもしれない。私は周期表を眺めてうっとりするマニアだが、ただの暗記物で何が面白いかさっぱりわからない、という人の方が多いだろう。
周期表はこの世にある元素らの住む共同住宅だ。元素はルールに沿った形で各部屋におさまっている。この周期表の生みの親はロシアのメンデレーエフ。彼が周期表を作成した約140年前、知られている元素の数は63しかなかった。しかし、彼は大胆にも未発見の元素を予言し、空室を設けた状態で周期表を作った。このように空欄を作ったまま、全体像を見渡したところが彼の特筆すべき着眼点だ。
メンデレーエフ以前にも元素の法則を見出すべく挑戦した科学者は何人もいた。中でもユニークなのは、音符と関係づけたニューランズの「オクターブの法則」だろう。最初の元素から8番目の元素が最初の元素に似ているとしたのだ。残念ながらこのロマンチックな法則は、原子量の大きい元素にはあてはまらず、認められることはなかった。
現在、メンデレーエフの作成当時に発見されていた当時の2倍近くの数である110を越す元素が発見されている。それでも、彼の周期表は破綻することなくこれらの元素を受け入れている。音と絡むような、わかりやすい美しさはないだろう。しかし、行・列ともに理路整然とした「端整」な魅力を放っている。だから、周期表は見とれるに値する理系モノだと私は感じるのだ。
平成21年5月12日(火)掲載